新入社員の教科書

新入社員の教科書⑭ こんなにある!?労働関係法令


労働法はなんのためにあるのか?

 

ブラック企業に酷使される男性社員

明治初期の労働法令は、民法に雇用契約に関する定めがあるくらいでしたが、産業の近代化による労働者の増加とともに、多種多様な労働関係法令が整備されてきました。

ではなぜ労働者が増えると労働関係法令を整備する必要があるのでしょうか?

それは使用者と労働者の関係においては、使用者の方が資金力や交渉力などにおいて、労働者よりも圧倒的に強い立場にあるからです。

労働条件や労働災害の取り扱いにおいて、労働者が泣き寝入りするケースが多発したために、法律で労働者の権利を保護する必要がありました。

この回では働く上で欠かせない労働関係法令の全体像について解説してゆきます。

 

 

労働者の権利を守る重要な法令

 

労働基準監督署

労働基準法

「労働基準法」は、使用者が労働者を雇用する際に、賃金、労働時間、休日などの労働条件について守らなければならない義務を定めたものです。

労働基準法は「強行法規」ですので、法律に違反すると、使用者は最高で10年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金という厳しい刑罰を科されます。

また労働基準法の特徴として「両罰規定」というものがあります。

これは労働基準法違反があった場合、労働者を管理する現場の責任者だけでなく、経営者も一緒に処罰されるという意味です。

 

労働契約法

「労働契約法」は、使用者と労働者の間で雇用契約をむすぶ際に、留意すべき事項について定めたものです。

労働契約法には2つの大きな特徴があります。

ひとつは「安全配慮義務」といって、使用者は労働者の健康のために、就業環境に十分配慮せよというものです。

そしてもうひとつは、「権利濫用法規」といって、使用者は好き勝手に労働者を解雇できないというルールです。

労働契約法は罰則のない「任意法規」ですが、使用者の違法行為によって労働者が損害をこうむった場合は、労働者は使用者に対して損害賠償請求ができます。

 

男女雇用機会均等法

「男女雇用機会均等法」は、使用者に対し、労働者の採用および入社後の昇進や昇給について男女均等に扱い、女性労働者の妊娠中や出産後の健康に充分な配慮を行うよう定めた法律です。

また女性労働者に対する不利益な取り扱いや、セクハラ、マタハラが発生しないように、社内で必要な措置をとるよう使用者に義務づけています。

もし違反行為があった場合は、管轄の都道府県労働局が使用者に対して是正勧告を行ない、それに従わない場合は社名を公表することになります。

 

 

もしもの時に役に立つ法令

 

労災で腕をケガした女性社員

労働者災害補償保険法

「労働者災害補償保険法」(通称;労災保険法)は、業務中もしくは通勤途中に、業務に起因して労働者が傷病にかかった場合の補償について定めた法律です。

このシリーズの「㉜資産形成(社会保険編)」でも、労災保険法について詳しく解説していますので、ぜひご覧になって下さい。

労働者が労災事故に遭ったために医療機関を受診する際は、健康保険証(医療保険)は使用できません

 

労働安全衛生規則

「労働安全衛生規則」とは、労働者が安全かつ健康的に働くことができるように、使用者が講ずべき措置について定めた「労働安全衛生法」を、具体的に補足する省令です。

特にみなさんに直接関係するのは、労働者の雇い入れ時および毎年一回義務付けられている「定期健康診断」の実施内容や報告方法についてのルールです。

 

育児介護休業法

「育児介護休業法」とは、少子高齢社会の本格的な到来にともない、労働者の育児環境の充実と、老親の介護ニーズに応えるために施行された法律です。

育児休暇の場合は子供が生まれてから最大で1年間、介護休暇は最大で93日の取得が可能で、労働者から請求があった場合には使用者はこれを拒否できません。

 

雇用保険法

「雇用保険法」は、失業した時の失業給付の受給資格や受給額の計算方法、育児休暇や介護休暇を取得する際の給付金の支給要件などについて定めた法律です。

新卒者が早期に自己都合退職した場合、通算して12カ月以上の雇用保険加入期間がないと、失業給付を受ける権利がありません。

 

個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律

会社から不当解雇されそうになっている、理由もなく給与を減らされた…など、労働者(個人)と使用者との間の紛争を解決するための法律です。

労働者からの申し立てによって、都道府県労働局長が使用者に対して紛争解決のための助言、指導を行い、それでもダメなら紛争調停委員会があっせんを行います。

 

 

社会常識として知っておきたい法令

 

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最低賃金法

「最低賃金法」(通称;最賃法)は、使用者に対して労働者に最低賃金以上の賃金額を支払うことや、最低賃金の計算方法などについて定めた法律です。

最低賃金は地域や産業によって異なり、毎年10月1日に改定されます。

 

労働者派遣法

かつて「派遣切り」などと社会問題にもなりましたが、「労働者派遣法」とは、労働者派遣事業の適正な運営と、派遣労働者の就業条件を保護するための法律です。

 

パートタイム労働法

「パートタイム労働法」は、パートやアルバイトなど、短時間労働者のための労働基準を定めた法律で、使用者はパートタイマー用の就業規則や雇用契約書を作成する義務があります。

法律上には「アルバイト」という用語は存在しません。法的には短時間労働者は全て「パートタイマー」として扱われます。

 

労働組合法

労働条件や労災の取り扱いをめぐって労使間で紛争が起こった場合、個々の労働者と使用者とでは交渉力に大きな差があります。

そこで「労働組合法」でもって、労働者が労働組合を結成したり、労働組合に加入し、使用者と団体交渉したりする権利すなわち「労働三権」を保障しています。

<労働三権> 
・団結権(労働組合を結成する権利)
・団体交渉権(労働者が団体で使用者と交渉する権利)
・団体行動権(労働者がストライキ等、実力行使できる権利)
※使用者が労働組合活動や、労働者が組合に加入することを妨害することは「不当労働行為」として禁止されています。
※労働者がストライキを起こしたことによって発生した損害については、使用者は労働組合や労働者に対して損害賠償請求することができません

 
 

労働関係調整法

「労働関係調整法」とは、労働組合(集団)と使用者との間で労使紛争が起きた場合の解決ルールを定めた法律です。

前述の「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」は、労働者個人と使用者との間の「個別紛争」を解決するための法律ですが、こちらは「集団紛争」の解決ルールになります。

 

 

法律は知っている者の味方です

 

インフォマークをもった男女社員

労働関係法令はこれまで紹介してきたもの以外にも、「障がい者雇用法」や「高齢者雇用法」など、多種多様な法令が存在します。

これについて全て理解することは実務担当者でも難しいので、新入社員のみなさんは、とりあえずここで紹介した重要な法令だけでも覚えておきましょう。

<法令の上手な読み方>
まず目次を読んで、どのような条文が収載されているか全体像を把握し、後は自分に必要な条文だけ、その都度読めばよいと思います。またわざわざ六法全書を購入するくらいなら、社会保険労務ハンドブックを一冊購入した方がコスパが良いでしょう。

END

 

 

参考

人事部長オススメの新社会人が取るべき検定資格TOP4
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新社会人が検定資格を狙うべき理由

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人事部長オススメの新社会人が狙うべき検定資格TOP4!

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ビジネス実務法務検定3級

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日商簿記検定3級

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