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002_労働時間のFAQ

【管理監督者】管理監督者が「介護特別休暇(無給)」を取得した場合の賃金カットは妥当か?

依頼者からのご相談

疑問な白衣の女性

当院は、歯科・歯科口腔外科(外来・入院・手術あり、歯科医師6名、歯科衛生士15名、事務3名)を標榜する歯科病院です。この度、両立支援の観点から、全職員を対象に自院独自の「介護特別休暇(無給)」を新設し、時間単位・半日単位・日単位での取得を可能としました。

しかし、管理監督者である診療部長や歯科衛生士長が介護特別休暇(特に時間単位の無給休暇)を取得した場合に、「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づき、不就労時間分の賃金をカットすべきかどうか判断がつかないところです。そこで次の点についてお伺いします。

  1. 管理監督者が時間単位の介護特別休暇を取得した際、不就労分を賃金カットすることは法的に妥当でしょうか?
  2. 管理監督者が1日あるいは半日単位で当該休暇を取得した場合と、時間単位で取得した場合の取り扱いに違いはありますか?
  3. 時間単位の勤務管理や控除を行うことで、労働基準法第41条第2号上の「管理監督者性」が否定されるリスクはありますか?

ご相談への回答

できるビジネスパースン

育児・介護休業法に定める介護休業や介護休暇を超えて、自院独自に仕事と介護の両立支援を推進することは非常に先進的な取り組みですが、結論から申し上げると、管理監督者が無給の介護特別休暇(時間休・半休・全休)を取得した場合であっても、不就労時間に応じた賃金控除(カット)を行う運用は原則として避けるべきです。

時間休に対する賃金控除の適否とリスク

労働基準法第41条第2号に定める「管理監督者」は、労働時間、休憩、休日に関する規定が適用除外されています。管理監督者として認められるための重要な判断要素の一つが、「出退勤時刻について厳格な制限を受けず、勤務時間に自由裁量があること」です。

もし1時間単位等の短時間の不就労に対して細かく賃金控除を行う運用を行うと、労働基準監督署等から「勤務時間が細かく管理・拘束されている」とみなされ、管理監督者性が否認される決定的な要因となり得ます。したがって、時間休の不就労分については賃金控除を行わない(有休扱い同様に減額しない)運用が妥当です。

全休・半休時の賃金控除と待遇要件の関係

たとえば管理監督者が育児・介護休業法に定める介護休業(対象家族1名につき最大93日間)を行った場合に、「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づき、管理監督者が不就労だった期間について賃金を不払いとすることは、直ちに労働基準法違反となるわけではありません。

しかし、1日や半日単位の不就労について賃金カットを行うような運用は、管理監督者の要件である「勤務態様の自由裁量」や「その職責にふさわしい待遇(十分な基本給・役職手当の支給)」を満たしていないと評価されるリスクを著しく高めるため、休暇の区分を問わず、管理監督者は賃金カットを行わない運用を強く推奨します。

管理監督者に介護特別休暇は必要なのか?

労働基準法の管理監督者とは、次の3つの要件を満たすことを条件に、労働時間・休憩・休日に関する法の規定が除外される者です。

  • 経営者と一体的な責任と権限:経営者と一体的な立場でもって労働時間の枠を超えて事業活動することを要請されるような重要な職務と権限が付与されていること
  • 労働時間に関する自由裁量性:自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること(出退勤時間に自由裁量があり、厳格な管理を受けないこと)
  • 地位と権限にふさわしい待遇:基本給、役付手当、賞与等の給与面において、一般の労働者と比較してその地位や権限にふさわしい優遇措置が講じられていること

管理監督者であっても法定の休業や休暇の権利はありますが、もともと自身の労働時間に対する大きな裁量権を有しているため、不就労分を細かく賃金カットするような独自(法定外)の特別休暇の対象とすることは法の趣旨に馴染みません。

本件のポイント

気づきを得た白衣の女性
  • 管理監督者が時間単位の介護特別休暇を取得した場合に賃金カットを行うと、管理監督者性を否認される可能性が高い。
  • 介護休業を無給とする運用は直ちに違法ではないが、全日・半日単位の休暇の賃金カットは管理監督者性を否認される。
  • そもそも自身の就労について大きな裁量権を有する管理監督者を法定外の特別休暇の対象とすることは法になじまない。
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  • この記事を書いた人

山口光博/社会保険労務士/人事コンサルタント

医療法人の総務課長→医事課長→法人本部人事課長を歴任後、上場準備企業の人事部長を経て開業。歯科・歯科口腔外科部門の事務マネジャー経験あり。

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