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001(制度概要)_労働基準

管理職(管理監督者)の労働時間・休憩・休日管理のルール

「管理職だから残業代は不要、労働時間管理も対象外」…本当にそうでしょうか?労働基準法上の「管理監督者」の定義は厳格で、名ばかり管理職のリスクが潜んでいます。本記事で、管理職に適用される労働時間や休日、休暇などの勤怠ルールを学びましょう。

なぜ管理職は残業手当が支払われないのか?

労働基準法における管理監督者の適用除外

労働基準法第41条第2号では、「監督若しくは管理の地位にある者(管理監督者)」については「労働時間、休憩、休日に関する規定を適用しない」と定めています。 

このため、管理監督者に対しては、1日8時間・週40時間(常時10人未満の歯科クリニック等の特例対象事業は週44時間)といった法定労働時間の制限がなく、時間外労働に対する割増賃金(残業手当)の支払い義務も生じません。

また、休憩時間の付与や法定休日(週1回または4週4日)の規定も適用除外となります。

「名ばかり管理職」のリスク

ただし、院内での肩書が「◯◯長」であっても、直ちに労働基準法の管理監督者とされるわけではありません。管理監督者に該当するか否かは、職務内容や権限、その地位にふさわしい待遇(賃金等)を受けているかといった実態に基づいて厳格に判断されます。

十分な権限や報酬が与えられていない、あるいは厳格な労働時間管理を受けている「名ばかり管理職」とみなされた場合、過去に遡って未払い残業代の請求を受けるなどの経営リスクを招くため、自院の管理職が要件をクリアしているか精査が必要です。

管理職であっても深夜割増や出退勤打刻は必要

管理職だって深夜労働はつらい…

労働基準法第41条が適用除外としているのは法定労働時間や法定休日に関する規定であり、深夜労働に関する規定は除外されていません。法定労働時間や法定休日は労働時間の総量に関する規制ですが、深夜労働が問われるのは労働させる時間帯です。 

深夜労働(午後10時〜午前5時)は、人間の生理的リズムに反し、健康に悪影響を及ぼす可能性が高い時間帯の労働です。そのため管理監督者であっても深夜労働は抑制すべきであり、深夜業の割増賃金(2割5分以上)の支払義務を事業主に課しているのです。

管理職に対しても労働時間把握は必須

労働基準法において管理職は労働時間管理の対象外であるため、出退勤の打刻は必要とされません。しかし労働安全衛生法は、管理監督者を含むすべての労働者の労働時間の状況を客観的な方法で把握することを事業者に義務付けている点に注意が必要です。

この理由は長時間労働による健康障害(脳・心臓疾患等)を防止するためです。時間外と休日労働時間の合計が月80時間を超えた労働者(管理職を含む)について、事業者は産業医に報告し、必要に応じて医師の面接指導を受けさせなければなりません。

女性管理職の労務管理に関する注意点

産前産後休業・育児時間(労働基準法)

労働基準法は原則として産前6週間以内(本人が産休を希望した場合のみ)および産後8週間以内の女性の就労を禁止しています。また生後1年未満の子を育てる女性労働者が請求した場合は、1日2回各30分以上の育児時間を与えねばなりません。

労働基準法のこれらの条文には管理職を除外する但し書き等が存在しないこと、また母体の保護などを目的としていることから、妊産婦である女性管理職についても、これらのルール(産前産後休業および育児時間の付与)が当然に適用されることになります。

育児休業・子の看護休暇等(育児・介護休業法)

使用者は、生後1歳未満の子を養育する労働者が申し出た場合は、育児休業を拒否できません。同様に 小学校3年生までの子の看護等のために請求があれば、年間5日まで子の看護休暇を付与しなければなりませんが、これらについても女性管理職は対象となります。

労働基準法の産前産後休業や育児時間が「女性」を対象としているのに対し、育児・介護休業法の育児休業や子の看護休暇の対象は「労働者」ですので、出産した女性の配偶者たる男性労働者も対象となります。ちなみに産後パパ育休は男性の育休取得促進が目的です。

管理職の活性化がクリニックを元気にする

管理職の年次有給休暇と休業手当

最後につけくわえると、管理職にも年次有給休暇が付与されます。別の記事で休日と休暇の違いについて解説しましたが、労働基準法において管理監督者が対象外とされるのは休日です。したがって管理職についても勤続年数に応じた年次有給休暇の付与が必要です。

なお事業主都合による休業の場合に支払わねばならない休業手当についても管理職を除外する規定はありませんが、管理職は労働時間の多寡によって給与の支給額が変動するものではありません(完全月給制)ので、結果的に休業手当は支払不要という理解が正解です。

日本型組織における中間管理職の役割

日本の組織において中間管理職とは、経営陣の描くビジョンを平易な言葉にブレークダウンして現場のスタッフに落とし込み、現場で日々発生しているあらゆる事象をチャンクアップして経営陣にフィードバックするまさに組織運営のハブです。

特に医療業界は医療政策の行く末を見極めつつ経営の舵取りを行い、さらに臨床現場のコントロール管理も両立させねばなりませんから、クリニック経営の要となる中間管理職の育成こそが組織全体のパフォーマンスに直結します。

管理監督者は労基法上の労働時間・休日の規定は適用除外ですが、深夜労働割増、労働時間把握義務、年次有給休暇、妊産婦・育児介護の規定は適用されます。また名ばかり管理職と判断されないよう、職務権限や報酬の実態を見直し、適切な処遇を行うことが必要です。

本記事の内容は投稿時点の法令にもとづき要点のみを平易な表現で執筆しています。実務においては所轄の官公署にご相談のうえ、貴院の実情に応じて適切にご対応願います。なお弊社でもオンライン人事相談を実施中です。詳しくは弊社ホームページよりご確認ください。


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  • この記事を書いた人

山口光博/社会保険労務士/医療労務コンサルタント

医療法人の総務課長→医事課長→法人本部人事課長を歴任後、上場準備企業の人事部長を経て開業。歯科・歯科口腔外科部門の事務マネジャー経験あり。

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