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001_労働契約のFAQ

【雇用保険区分】「パートタイム」か「有期契約」か。離職票の受給資格に関わる届出基準とは?

人事相談FAQでは、実際に運営者(RWC合同会社・RWC社労士事務所)が取り扱った人事相談のうち、頻出の事案あるいは重要と思われる事案を厳選し、医療業界に置き換えてご紹介しています。

依頼者からのご相談

首をかしげる医師

当院では、子育て中の歯科衛生士や歯科助手を積極的に採用しており、週24時間(6時間×4日)といった短時間勤務のスタッフが数名在籍しています。

先日、新しく採用したスタッフの雇用保険加入手続き(資格取得届)を事務長が行った際、ハローワークから「雇用形態の区分が違う」と指摘を受けました。

当院では、1年ごとの契約更新としているスタッフについては、雇用保険の区分を「有期契約労働者」として届け出ていました。しかし、ハローワークの担当者からは「週30時間未満であれば、有期契約であっても『パートタイム』で届け出てください」と言われたそうです。

  1. 「パートタイム」と「有期契約労働者」の区分の優先順位はどうなっているのでしょうか?
  2. 届出の区分が異なると、将来スタッフが退職して離職票を受け取る際、失業手当(基本手当)の受給日数や金額に不利益が生じることはありますか?
  3. 契約上の時間と実労働時間がずれている場合、どちらを基準に届け出るべきでしょうか。

ハローワークの担当者によっても説明が微妙に異なることがあり、実務上の正解を知りたいと考えています。


ご相談への回答

できるビジネスパースン

雇用保険の手続きにおける「雇用形態区分」は、統計上の分類に近い側面がありますが、事務処理上の明確な優先順位が存在します。結論から申し上げますと、雇用保険の実務においては「週30時間未満か否か」という基準が、「有期か無期か」という契約形態よりも優先されます

雇用保険事務における区分の優先順位

ハローワークへ提出する「被保険者資格取得届」の雇用形態欄(12欄)には、以下の判断基準があります。

  • パートタイム(短時間労働者):週の所定労働時間が、同一事業所の通常の労働者(正社員等)よりも短く、かつ「30時間未満」である者を指します。
  • 有期契約労働者:有期雇用契約を締結している者のうち、上記(パートタイム)に該当しない者を指します。

つまり、たとえ1年更新の「有期契約」であっても、週の所定労働時間が24時間であれば、区分は「パートタイム」を選択するのがハローワークの基準となります。

スタッフの受給資格への影響

最も気になる「将来の失業手当への影響」ですが、結論として、「パートタイム」か「有期契約」かの区分が異なるだけで受給額や日数に不利益が生じることはありません

雇用保険制度において、これらはどちらも「一般被保険者」という大きな枠組みの中に含まれます。基本手当(失業保険)の受給要件や支給額を決定するのは、あくまで以下の要素です。

  • 算定基礎期間(雇用保険に加入していた月数)
  • 被保険者期間(賃金支払基礎日数が11日以上ある月数など)
  • 離職理由(自己都合か、会社都合か)
  • 賃金日額(離職前6ヶ月間の平均賃金)

届出上の「区分」そのものが受給資格を左右することはないため、スタッフに不利益が及ぶ心配はありません。

実態に即した正しい届出

歯科クリニックでは、急な急患対応や診療の延長などで、契約上の時間(所定労働時間)と実労働時間が乖離することがあります。

  • 基準となる時間:原則として「労働条件通知書」等で定められた所定労働時間に基づき届け出ます。
  • 実態との乖離:もし、契約上は週24時間(パートタイム区分)であっても、残業が常態化して週30時間を超える勤務が続いているような場合は、実態に合わせて区分を見直す必要があります。
  • 届出のタイミング:雇入れから10日以内に、事業所の所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)の長へ提出します。

本件のポイント

気づきを得た白衣の男性
  • 雇用保険の届出区分は「週30時間未満」であれば、契約期間の定めの有無に関わらず「パートタイム」が優先される
  • 「パートタイム」と「有期契約」の区分違いによって、失業手当の受給においてスタッフが不利になることはない
  • 基本手当の受給には、離職日以前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上(特定理由離職者等は1年間に6ヶ月以上)あることが必要である
  • 実労働時間が契約時間を常態的に上回る場合は、区分や社会保険の加入条件に影響するため、実態に即した届出と管理がガバナンス維持の要となる

ハローワークの指摘は、正確な統計データ作成と事務処理の統一を目的としたものです。不利益が生じないことを理解した上で、当局の基準に沿って粛々と手続きを進めるのが賢明です。

本記事の内容は投稿時点の法令にもとづき要点のみを平易な表現で執筆しています。実務においては所轄の官公署にご相談のうえ、貴院の実情に応じて適切にご対応願います。なお弊社でもオンライン人事相談を実施中です。詳しくは弊社ホームページよりご確認ください。


  • この記事を書いた人

山口光博/社会保険労務士/医療労務コンサルタント

医療法人の総務課長→医事課長→法人本部人事課長を歴任後、上場準備企業の人事部長を経て開業。歯科・歯科口腔外科部門の事務マネジャー経験あり。

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