人事相談FAQでは、実際に運営者(RWC合同会社・RWC社労士事務所)が取り扱った人事相談のうち、頻出の事案あるいは重要と思われる事案を厳選し、医療業界に置き換えてご紹介しています。
依頼者からのご相談

当院では、スタッフのワークライフバランス支援の一環として、付与された年次有給休暇のうち年5日分を上限に、1時間単位の取得を認めています(フルタイム勤務者の場合は1日8時間×年5日=年間の時間単位付与の上限時間は40時間迄)。
この度、育児休業を終了して復職し、子の養育のために所定労働時間を1日8時間から「5.5時間(5時間30分)」に短縮して勤務している歯科衛生士から、時間単位年休の利用について申請があり、以下2点の取り扱いについて適切かどうかご確認をお願いします。
- 時間単位年休の年間上限時間:1日5.5時間勤務の場合、1時間未満の端数(0.5時間)を切り上げて「1日=6時間」とし、年間上限を「30時間(6時間×5日)」と計算して問題ないでしょうか?
- 1日全休取得時の給与支払額:1日休んだ場合の有休手当(通常の賃金)は、上限計算用の枠組みである「6時間分」ではなく、本来の所定労働時間である「5.5時間分」として計算する認識で合っているでしょうか?
ご相談への回答

時短勤務者の時間単位年休については、年間上限時間の計算ルールと、1日休暇を取得した際の給与計算ルールが異なります。結論から申し上げますと、院長のご認識通りの取り扱いが正解ですので、法的な問題はありません。
年間上限時間の切り上げルール(労基法第39条第4項)
労働基準法および厚生労働省の通達において、時間単位年休の「1日分の年次有給休暇に相当する時間数」を労使協定で定める際、1日の所定労働時間に1時間未満の端数がある場合は「1時間単位に切り上げなければならない」と定められています。
- 所定労働時間:5時間30分(5.5時間)
- 1日分の換算時間:端数(30分)を切り上げて 6時間
- 年間上限時間(5日分):6時間 × 5日 = 30時間
5.5時間×5日=27.5時間と計算したり、端数を切り捨てて25時間としたりすることは労働者に不利益となり違法です。切り上げて「年間30時間」とすることは、法律の定めに則った適正な運用です。
1日全休取得時の給与計算(通常賃金)
「時間単位年休の上限時間を管理するための換算枠」と、「1日単位で年休を取得した際に支払う賃金(通常の賃金)」は、全く別の概念として切り離して取り扱う必要があります。
日単位で有給休暇を取得した場合の有休手当は、その日に本来勤務するはずだった所定労働時間に対して支払われます。したがって、6時間分ではなく、本来の所定労働時間である「5.5時間分」の給与を支払えば足ります。
本件のポイント

- 年次有給休暇の時間単位付与の限度時間の算定において、所定労働時間に1時間未満の端数がある場合、1日分の換算時間は1時間単位に切り上げる(5.5時間勤務なら「1日=6時間」)。
- 一方で1日単位で年次有給休暇を取得した際に支払うべき賃金の額は、年次有給休暇の時間単位付与の上限時間の計算とは異なり、本来の所定労働時間に基づき計算する。
本記事の内容は投稿時点の法令にもとづき要点のみを平易な表現で執筆しています。実務においては所轄の官公署にご相談のうえ、貴院の実情に応じて適切にご対応願います。なお弊社でもオンライン人事相談を実施中です。詳しくは弊社ホームページよりご確認ください。



