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02_労働安全衛生

安全衛生委員会

2024年9月12日

安全衛生委員会のアイキャッチ

安全衛生委員会の概要

安全衛生委員会の目的

労働安全衛生法は、一定数の労働者を使用する事業場において、安全委員会もしくは衛生委員会を設置し、毎月1回以上の頻度で開催することを、事業主および使用者に義務付けている。

安全委員会は業務に起因する負傷の防止、衛生委員会は職場環境や作業動作に起因する健康障害の防止について話し合う場である。そして安全委員会および衛生委員会の目的は、事業場において労災防止計画を策定するにあたり、現場の労働者の意見を反映させ、労災防止活動の実効性を高めることである。

安全委員会と衛生委員会の両方を開催しなければならない事業場では、これらをひとまとめにして安全衛生委員会とすることができる。

安全衛生委員会の開催

労働安全衛生法では、小売業において安全委員会を設置しなければならない業態および事業場を、総合スーパー、家具専門店、ホームセンター、ガソリンスタンドなどのうち、常時使用する労働者が100人以上(パートタイマーや派遣労働者を含む)の事業場としている。

衛生委員会は全ての業種・業態において、常時50人以上の労働者を使用する事業場に設置義務がある。なお派遣労働者については、派遣元企業と派遣先企業のそれぞれにおいて、衛生委員会設置要件の労働者数にカウントしなければならないことに注意が必要である。

事業場とは企業全体ではなく、本部や店舗、配送センターなどの営業拠点単位をいうが、設置要件に満たない事業場であっても、事業主は委員会に準じた話し合いの場を設ける義務がある。

安全衛生委員会運営のポイント

安全衛生委員会のメンバー

安全委員会および衛生委員会のメンバーはそれぞれ次のとおりとなっている。安全衛生委員会として開催する場合には、これらの両方のメンバーを含む必要がある。議長は事業主が選任するが、それ以外のメンバーの半数は、労働者の過半数代表者の指名による。

<安全委員会>
・議長;総括安全衛生管理者(選任義務が無い事業所は店長)
・委員;安全管理者、労働安全の経験者
衛生委員会>
・議長;総括安全衛生管理者(選任義務が無い事業所は店長)
・委員;衛生管理者、産業医、労働衛生の経験者、作業環境測定士(適宜)

作業環境測定士は、作業場の危険有害要素の測定、試料の採取、試料の分析などを行う専門家であり、実施に際しては、中央労働災害防止協会などに作業環境測定士の派遣を依頼することが一般的である。 

主な議事の内容

安全委員会および衛生委員会の主な議事は次のとおりである。

<安全委員会>
・安全規定の作成に関すること
・安全上の危険性や有害性の調査および調査結果に基づく措置に関すること
・安全に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること
・安全教育の実施計画の作成に関すること
<衛生委員会>
・衛生規定の作成に関すること
・衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること
・衛生教育の実施計画の作成に関すること
定期健康診断の結果に対する対策に関すること
長時間労働道による健康障害防止の対策に関すること
労働者のメンタルヘルスの保持等の対策に関すること

要するに安全委員会は怪我の防止、衛生委員会は健康障害や職業性疾病の予防のために、事業場の労使メンバーが集まって、対策や進捗状況について話し合う場ということである。

なお衛生委員会の議事のうち下半分の3項目は、それぞれ健康診断、医師の面接指導、ストレスチェックテストにおいて異常所見があった労働者への対応に関する事項であり、勤務時間の短縮や作業内容の変更など異常所見者の健康保全措置についても委員会で協議する必要がある。

委員会の開催に関する特記事項

労働安全衛生法は、事業主および使用者に対し、毎月1回以上の頻度で安全衛生委員会を開催すること、委員会を開催する都度、議事録を事業場の労働者に遅滞なく周知すること、また議事録は各事業場において3年間保存することを義務付けている。

安全衛生委員会のまとめ

安全衛生委員会は、労働安全衛生法によって一定規模以上の事業場に設置が義務付けられているものだが、同法令は委員会の開催義務の無い小規模の事業場であっても、使用者は労働者から安全衛生に関する意見を聴取する場を設けなければならないとしている。

また安全衛生委員会が形骸化しないよう、議長は委員会ごとに事前にアジェンダ(議題)をメンバーに提示し、限られた時間の中で具体的なアウトカム(話し合いの成果)を生成できるように、ファシリテーションの技術を習得しておくことが望ましい。

なお下記の書籍は中央労働災害防止協会がまとめた、いわば安全衛生委員会のバイブルともいえる手引書である。できれば各店舗に1冊を常備し、委員会の設立および開催に先立ちメンバー全員が一読し、実効性ある安全衛生委員会の運営に役立てることを推奨する。

安全衛生委員会の進め方、活かし方第2版 この一冊で活きた安全衛生委員会が運営できる (安全衛生基本シリーズ) [ 中央労働災害防止協会 ]

  • この記事を書いた人

山口光博

コンビニの店長やスーパーの販売課長を経て、31歳の時に管理畑に転職する。以後、20年以上にわたってあらゆる人事マネジメントの実務に携わる。上場準備企業の人事部長として人事制度改革を担当した後に独立、現在に至る。

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