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高年齢者雇用状況等報告書とは?歯科クリニックが知っておくべき制度と手続きガイド

焦って書類を書く白衣の男性のイラスト

「関係ない」と思っていませんか?歯科クリニックと高年齢者雇用状況等報告

高年齢者雇用状況等報告は、小規模な歯科クリニックには無縁の話」そう思っていませんか?

確かに、スタッフ数がおおむね十数人以下の歯科クリニックでは、この報告の対象にならないケースがほとんどです。

しかし、複数のクリニックを展開する医療法人や、一定数以上のスタッフを雇用しているクリニックの場合、報告義務が生じる可能性があります。

また、現在は対象外であっても、将来的な規模の拡大を考えているなら、あらかじめ制度を知っておいて損はありません。

この記事では、高年齢者雇用状況等報告の概要から具体的な手続きまで、歯科クリニックによくある状況を交えながら分かりやすく解説します。

高年齢者雇用状況等報告の概要

高年齢者雇用状況等報告とは?

高年齢者雇用状況等報告は、高年齢者雇用安定法に基づき、事業主が毎年、高年齢者の雇用確保措置などの実施状況を厚生労働大臣に報告する制度です。

主に65歳までの雇用確保措置や70歳までの就業確保措置がどのように実施されているかを把握することを目的としています。

収集した情報は、ハローワークが企業へ助言・指導を行う際の基礎資料となるほか、高年齢者の就業支援にも活用されます。

対象となる事業主は?

原則として、常時雇っている労働者が21人以上の事業主が対象です。

現在、高年齢者に該当するスタッフを雇用していない場合であっても、この条件を満たしていれば報告が必要です。

歯科クリニックの場合

歯科クリニックのスタッフ数は数人から十数人が一般的なため、単院で運営しているクリニックの多くは対象外となります。

ただし、医療法人などで複数のクリニックを展開している場合は注意が必要です。

労働者数は「法人全体」でカウントされるため、法人内の各クリニックのスタッフ数を合算して21人以上になる場合は、報告の対象となります。

高年齢者雇用状況等報告の手順

報告期限

毎年6月1日現在の状況を、6月1日から7月15日までの間に報告します。

報告先

クリニックの所在地を管轄するハローワークに報告します。

なお、複数のクリニックを展開する医療法人等は、各クリニックの状況を法人が取りまとめ、法人の所在地を管轄するハローワークへ一括して報告します。

報告様式

報告書の様式は、以下の方法で入手できます。

様式は変更されることがあるため、必ず最新のものを確認し、前年のものは流用しないよう注意しましょう。

  • ハローワークからの郵送
    • 対象となる事業主には、5月下旬から6月上旬頃に管轄のハローワークから様式と提出案内が郵送されます。
  • 厚生労働省ホームページからダウンロード
    • PDF形式およびWord形式で入手可能です。
    • 記入ミスを防ぐためのExcel形式の「エラーチェックツール」も提供されています。

記入にあたっては、様式に同封されている「記入要領」や、厚生労働省ホームページに掲載されている記入例を参照してください。

提出方法

提出方法は、以下の3つから選択できます。

  • 電子申請:e-GovアカウントまたはGビズIDを利用します。申請は毎年6月1日以降でないとできません。
    • e-GovアカウントまたはGビズIDエントリーを使用する場合は電子署名が必要です(GビズIDプライムは不要)。
  • 郵送:管轄のハローワーク宛てに郵送します。
  • 持参:管轄のハローワークの窓口へ直接持参します。

よくある質問

スタッフが20人以下の歯科クリニックは報告の必要はありませんか?

はい、常時雇用する労働者が20人以下であれば報告の対象外です。
ただし、労働者数は「法人単位」でカウントされます。例えば、ある医療法人が「スタッフ10人のAクリニック」と「スタッフ15人のBクリニック」を運営している場合、法人全体で計25人となるため、報告が必要になります。

複数のクリニックを展開している医療法人の場合、クリニックごとに報告が必要ですか?

いいえ、各クリニックが個別に提出する必要はありません。
医療法人が全クリニックの分を取りまとめ、法人の本部所在地を管轄するハローワークへ一括して報告します。

現在、高年齢のスタッフを雇用していない場合も報告は必要ですか?

はい、必要です。
報告が必要となる事業主であれば、高年齢者に該当するスタッフが在籍していない場合でも、現状を報告する義務があります。

報告を行わなかった場合、罰則はありますか?

提出しなかったことに対する直接的な罰則はありません。
ただし、高年齢者の雇用確保措置などの実施状況が不適切と判断された場合は、厚生労働大臣による指導や助言の対象となります。
それらに従わない場合は「勧告」が行われ、さらに65歳までの雇用確保措置に関する勧告にも従わなかった場合は、企業名(法人名)が公表される可能性があります。

まとめ:歯科クリニックの将来を見据えた高年齢者雇用への備え

高年齢者雇用状況等報告は、行政が高年齢者の雇用状況を把握し、生涯現役社会の実現に向けた支援を行うための重要な制度です。

スタッフが20人以下の歯科クリニックでは、今すぐ対応が必要な手続きではないかもしれません。

しかし、複数クリニックの開設やスタッフの増員によって規模が大きくなれば、いずれ報告義務が生じます。将来のクリニックの発展を見据えて、こうした制度を頭の片隅に置いておくことが大切です。

また、この機会に、高齢のスタッフの定年や継続雇用制度について改めて見直してみることもお勧めします。
長年クリニックを支えてきた歯科衛生士や受付スタッフが安心して働き続けられる環境を整えることは、スタッフの定着や採用力の向上にもつながります。

報告書の作成・提出、あるいは定年・継続雇用制度の整備についてお困りの際は、お気軽に当事務所にご相談ください。


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  • この記事を書いた人

福島智美/社会保険労務士(未登録)

慢性期病院やリハビリ病院で労務管理を担当。転職先で山口の部下となった縁で以後の行動を共にする。文学博士前期課程修了。親族に医療従事者多数。

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