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10_退職時の制度

退職後の社会保険と税金

2024年12月27日

退職後の社会保険

健康保険

勤務先を退職すると、退職日の翌日に健康保険の被保険者資格を喪失するので、転職先が決まっている場合は、新しい職場の健康保険に加入することになる。もし当面の間、就職する予定が無ければ、住所地を管轄する市町村役場にて、国民健康保険に加入する。

なお、前職時代の収入によっては、国民健康保険より、前職の健康保険を任意継続した方が、保険料を抑えられる場合がある。また高額療養費については、転職により保険者(協会けんぽ、組合健保、国保)が変わると、医療費を合算できないので要注意。

厚生年金保険

健康保険と同様に、退職日の翌日に厚生年金保険の被保険者資格を喪失するが、転職先が決まっている場合は、新しい職場で再び厚生年金保険に加入する。もし当面の間、就職する予定が無ければ、住所地の年金事務所もしくは市町村役場で、国民年金の加入手続きを行う。

当月の健康保険と厚生年金保険料は、翌月の給与から控除することになっているが、退職月に限っては、前月分と当月分の保険料を一括控除することが認められている。ただし保険料は月末時点で判定するため、月の途中で退職した場合は、退職月の保険料は発生しない。

保険料が発生しない=保険に加入していないということなので、転職先未定の場合は、退職月から国民年金に加入する必要がある。

雇用保険

退職すると、ハローワークから雇用保険資格喪失確認通知書と、離職票1および2が郵送されてくる。雇用保険資格喪失確認通知書には、自身の雇用保険被保険者番号が記載されており、この番号は再就職時に新しい勤務先に提示するため、紛失しないように保管しておく。

失業給付(基本手当)を受給しようとする場合は、郵送されてきた書類一式を持参して管轄のハローワークへ行き、失業認定と求職申し込みをしなければならない。なお、基本手当は、離職日の翌日から1年以内に、待機期間等を含めて所定日数分を受給する必要がある。

労災保険

もし、労災保険から療養(補償)等給付や休業(補償)等給付などを受給している労働者が退職した場合であっても、労災保険からの保険給付は継続される。労災保険の受給権は、原則として労働者の退職によって失権することはないからである。

退職後の税金

所得税

■年末調整
給与所得にかかる源泉所得税は、毎年1月〜12月の総支給額をもとに年税額を確定させるため、年の途中で転職した場合は、前の勤め先から送付された源泉徴収票を、新しい職場に提出しなければならない(未提出の場合は、新しい職場で年末調整を受けられない)。

■退職金
税法における退職金は、定年退職を前提としており、退職金は定年後の生活の糧となることから、給与所得に比べて税額が軽減されている。原則として退職金の支給額から、下表により計算した控除額を差し引いた残額に対して、20,42%が課税される。

退職金についても、給与と同様に、所得税を控除した後の手取り額が支給される。

住民税

住民税は、事業主に給与からの控除と市町村役場への納付義務(特別徴収)があるため、転職先においても特別徴収を引き継いでもらうことになる。もし再就職する予定が無ければ、市町村役場から送付されてきた納付書により、自分自身で納付することになる。

なお、住民税の納付は毎年6月〜5月にかけて行うが、1月以降に退職する場合は、勤務先にて5月分までの税額を一括徴収・一括納付することになっている。ゆえに退職時期によっては、社会保険料の一括徴収と相まって、手取り額がほとんど残らないので気をつけたい。

退職後の社会保険と税金のまとめ

保険料が免除される制度もある

勤務先の倒産や違法な過重労働、ハラスメント等によって退職を余儀なくされた場合は、一定期間に限り、国民健康保険料を免除されることがある。また退職理由を問わず、再就職できない期間について、国民年金保険料を一部もしくは全額免除される制度もある。

国民年金は、20〜60歳まで保険料を全額収めた場合に満額受給できるが、保険料の免除を受けた場合は、その分について年金額も減額される。ただし免除から10年以内なら追納できる。

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店長の立場としては、従業員に対して「オトクな辞めかた」などという話はしづらいものだが、アルムナイ(出戻り)採用が当たり前になりつつある昨今において、丁寧に退職手続きに対応することで、他社で就労した後に、再び自社に戻ってきてもらえる可能性もある。


  • この記事を書いた人

山口光博

RWC合同会社/社労士事務所代表。社会保険労務士、日商販売士1級、建設業経理士1級ほか。コンビニ店長やスーパーの販売課長を経て、三十路で人事畑に転身。事業再生法人や上場準備企業で人事制度の再建に携わった後に起業。

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