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99_その他雑記

社労士合格を目指す方へ ①本気で社労士試験に合格したいの?

2024年10月27日

社労士合格を目指す方へ

試験科目

社労士試験の試験科目は、次の10科目である。一見すると税理士や行政書士、中小企業診断士などの試験科目より多く感じるが、概ね労働保険と社会保険に関する法令ばかりである。ただしこれら本則のみならず、附則や判例、通達、行政手引などからも、頻繁に出題される。

・労働基準法
・労働安全衛生法
・労働者災害補償保険法
・雇用保険法
・労働保険徴収法
・健康保険法
・国民年金法
・厚生年金保険法
・労務管理その他労働に関する一般常識
・社会保険に関する一般常識

これらの科目について、合格のために絶対におさえておくべきポイントは、①社労士試験においては、捨て科目や捨て分野は一切作ってはいけないこと、②多くの受験生が苦手とする年金2科目こそ、むしろ得意科目にして、少しでも他の受験生より優位に立つこと、の2つ。

他に留意すべきこととして、③労働基準法と健康保険法は判例学習も抜かりなく行うこと、④雇用保険法と健康保険法は知識の深さよりも広さに重点をおくこと、⑤一般常識科目は、法令2科目+白書統計の合計3科目してとらえ、早期に学習に着手すること、などがある。

試験方式

社会保険労務士試験は、8月の第4日曜日に行われる。試験は、前述の10科目をそれぞれ選択式と択一式の2つの方法で実施する。なお実際の試験では、これら10科目を、選択式は8科目に、択一式は7科目に集約し、マークシート方式で回答してゆく。

公式の試験概要をもとに筆者作成

試験は、選択式が10:30~11:50(80分)、昼食をはさんで択一式が13:20~16:50(210分)の長丁場となる。試験時間を設問数で割ると、選択式が空欄の穴埋め1ヶ所につき2分で、択一式(五肢択一方式)は選択肢1つあたり36秒で正誤を判定してゆかねばならない。

数年前まで、選択式は水物で対策不能と言われていたが、ここ2〜3年は基礎知識を問う出題傾向にある。ただし基礎知識を問う問題を漏れなく正答できて、なんとか基準点ギリギリといったところなので、基本的な設問は1問たりとも落とさないという覚悟が必要である。

択一式については、オーソドックスな出題が多かった令和5年に対し、令和6年はマイナー論点からの奇問珍問のオンパレードで、択一の方法も「正しいものはどれか?」ではなく、「正答はいくつあるか?」といった受験生泣かせの出題形式が一気に増えた年であった。

合格基準点

社労士試験の合格基準点は少し複雑な仕組みとなっている。まず科目別の合格基準点は、選択式が各科目3点以上、択一式が同様に4点以上である。仮にほとんどの科目で満点であったとしても、1点でも基準点に満たない科目があればゲームオーバー(不合格)となる。

出題形式別では、選択式が28点以上、択一式が49点以上となっており、それぞれ満点の7割以上得点しないと合格できない。ただし出題形式別の合格基準点はその年の受験生の平均点によって変動する(参考〜選択式;R5年26点→R6年25点、択一式;R5年45点→R6年44点)。

このように細かく設けられた基準点によっていったん受験生をふるいにかけ、基準点の引き下げ(救済措置)によって、適正な合格率に調整するのが社労士試験の大きな特徴である。合格には不得手科目を作らないようにし、平均点よりも上位に食い込むことがマストとなる。

合格難易度

厚労省統計をもとに筆者作成

社労士試験の合格率は6%前後なので、いわゆる難関資格の部類に入る。なお社労士試験はマークシート方式のみで行われるため、論述試験や口述試験の対策は不要である。単純に知っているか、覚えているかを問われるだけの試験なので、高度な思考力の有無も関係ない。

もっとも社労士試験には科目合格制度が無いので、常に一発勝負である。また手続法がメインなので、個々の論点について「◯◯以上 or ◯◯超」「◯以後 or ◯後」といった細かい知識まで正確に問われる。法令間で類似した制度も多く、学習が進むとかえって混乱することもある。

実のところ社労士試験は、初学者でも2〜3年勉強すれば合格できるレベルには到達する。だが試験方式が独特ゆえに、合格できるかどうかは別問題である。年によって出題傾向がガラリと変わるなど、運の要素も強いので、多年度受験生も珍しくない(いわゆる社労士沼)。

学習時間

社労士試験に合格するための学習時間は1,000時間といわれている。一方で、社労士試験は忘却との戦いであり、受験生の大部分を占めるサラリーマンの場合は、転勤や家庭の事情で受験勉強が中断してしまい、記憶のリカバリーのために復習時間を追加せざるを得ない時もある。

ゆえに「合格に必要な学習時間」を考えてもあまり意味がない。10年分の過去問を解き、全科目でコンスタントに95%以上正答できるようになれば受験を検討し、3社以上の受験予備校の模試で合格基準点に届くようになれば「今年はいけるかも?」程度に判断すればいい。

なお「初学者の私が半年間で合格した方法」などといった情報教材を見かけるが、あんなものは情弱を狙った詭弁なので、真に受けてはいけない。本当に短期合格したギフテッドのような人だとしても、再現性において多くの受験生には、ほぼ100%参考にならない話である。

筆者のプロフィール

漫画サザエさんの波平さんと同年代。令和5年に社労士試験に初挑戦し、労基法の選択式で基準点に1点足らず初戦敗退。令和6年に懲りずに再挑戦。持ち前の運の強さにも助けられ、択一式総合は基準点ギリギリながら合格。地方の三流大卒。人事労務の実務経験は20年ほど。

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  • この記事を書いた人

山口光博

コンビニやスーパーの販売職を経て三十路を機に人事業界に転身。20年以上にわたり人事部門で勤務先の人事制度改革に携わった後に起業。社会保険労務士試験合格。日商販売士1級、建設業経理士1級、FP技能士2級など多数取得。

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