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003_休日休暇のFAQ

【計画年休】計画年休を前倒しで使い切り、休診日に休業手当を請求することは可能か?

人事相談FAQでは、実際に運営者(RWC合同会社・RWC社労士事務所)が取り扱った人事相談のうち、頻出の事案あるいは重要と思われる事案を厳選し、医療業界に置き換えてご紹介しています。

依頼者からのご相談

首をかしげる医師

当院では、スタッフに付与した年次有給休暇のうち5日分を事前の勤務計画に基づき付与しています。なお、当院は小規模な歯科クリニックですので、計画的付与にあたっては全スタッフが同じ日に一斉に年次有給休暇を取得することとし、その日は当院の休診日としています。

一方で新規に採用したばかりの者や出勤率が8割に満たず新たな年次有給休暇が付与されなかった者については、年次有給休暇を計画的に付与することができません。そのことを労働基準監督署に相談したら、法定外の独自の有給休暇の付与あるいは平均賃金の6割以上の休業手当の支払いが必要だと言われました。

新年度の計画的付与にあたり、その経緯をスタッフに話したところ、あるスタッフが「計画年休分も含めて、自分の手持ちの有給をすべて消化したい。」と要求してきました。どうやら、あらかじめ有給を使い切って計画的付与の対象外となり、計画的付与の日(休診日)に休業手当を貰おうと目論んでいるようです。

そこで次の2点についてどのように対応すべきかご教示下さい。

  1. 計画的付与を決定した後に、スタッフが計画年休も含めて年次有給休暇を使い切りたいと要求してきた場合、当院はこれを拒否できるでしょうか?
  2. そもそも有給残日数が足りず、最初から計画付与の対象外となるスタッフについて、休業手当を支払わずに「無給の公休扱い」にすることはできないのでしょうか?

ご相談への回答

できるビジネスパースン

結論から申し上げますと、計画的に付与するものとされた年次有給休暇は、労働者の事情により取得日を変更することはできません。ただし計画的付与の対象外となっている年次有給休暇については、労働者は任意の時季に取得できます。また、全ての労働者に対し、同一の日に計画的付与を行う(休業する)場合、計画的付与の対象外となっているスタッフについて、休業手当の支払いが必要となります。

年次有給休暇の計画的付与のルール

労働基準法は、年次有給休暇の計画的付与を実施する際は、労働者が自由に使用できる有給休暇を年間5日以上残しておかなければならない(計画的付与できない)と定めています。そして計画的付与付与の対象となった年次有給休暇については、労働者は時季指定権(年次有給休暇の取得日を指定する権利)を、また使用者は時季変更権(労働者の指定した日が事業の正常な運用を妨げる場合に、年次有給休暇の取得時季を変更する権利)をそれぞれ失います。

なお計画的付与の対象となっていない年次有給休暇については、原則通り労働者は時季指定権を、使用者は時季変更権をそれぞれ行使できますので、当該スタッフが要求している「手持ちの全ての年次有給休暇」のうち、計画的付与することになっている休暇以外の年次有給休暇については、診療等に支障が生じない限り、本人の希望どおり取得させねばなりません。

休業手当の支払が必要となるケース

計画的付与の”対象外”とすべき年次有給休暇が5日未満の労働者については、計画的付与を実施できません。例えば採用したばかりの新規入職者や、出勤率(8割以上)要件を満たさず、新たに年次有給休暇が付与されなかった者などが想定されますが、本来は計画的付与の要件を満たした労働者のみに、計画的付与を適用すれば足ります。

問題は事業所に勤務するすべての労働者に対して、同一の日に計画的付与を行う(休業日とする)場合です。この場合は、計画的付与の対象外となった労働者は勤務先の都合により「就労できるのに就労の機会(賃金を得る機会)を奪われた」ことになります。したがって労働基準法第26条に基づき、事業主は平均賃金の6割以上の休業手当を支払う義務が生じるのです。

なお、計画的付与の対象外となっている労働者について、使用者が計画的付与の日(休業日)に当該労働者の未消化の年次有給休暇を一方的に充当することは認められません(休業手当の代わりに本人が年次有給休暇の取得を選択することは可能です)。

本件のポイント

気づきを得た白衣の男性
  • 計画的付与することとされた年次有給休暇については、労使ともに時季指定権・時季変更権を行使できなくなる(別の日に振り返ることはできない)。
  • 計画的付与以外の自由に使える有給については、労働者に時季指定権があるため、使用者は原則として取得を拒否できない。
  • 全員同一の日に計画的付与(一斉休診)を実施する場合、有給不足等で計画的付与の対象とならない労働者に対しては、無給とすることはできず平均賃金の6割以上の休業手当を支払う義務が生じる。
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  • この記事を書いた人

山口光博/社会保険労務士/人事コンサルタント

医療法人の総務課長→医事課長→法人本部人事課長を歴任後、上場準備企業の人事部長を経て開業。歯科・歯科口腔外科部門の事務マネジャー経験あり。

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