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005_労働安全のFAQ

【保険切替】健康保険で受診してしまった労災事故の医療費を労災保険に切り替えるには?

人事相談FAQでは、実際に運営者(RWC合同会社・RWC社労士事務所)が取り扱った人事相談のうち、頻出の事案あるいは重要と思われる事案を厳選し、医療業界に置き換えてご紹介しています。

依頼者からのご相談

首をかしげる医師

当院に勤務する歯科助手が、診察終了後の後片付けの際に転倒して手首を強打しました。当初は腫れや痛みが酷くなかったため、院長の私に報告することなく湿布を貼って翌日も勤務していたようです。しかし痛みが引かないため、健康保険証を使って最寄りのA診療所を受診したところ手首の骨折が判明し、設備の整ったB病院に転院して治療を継続中です。

そのことについて職員本人から「実は院内での業務中に転倒した際のケガなので、労災保険に切り替えて申請したい」と申し出がありましたが、当院の事務長は「すでに健康保険を使って受診しているため、治療が終わるまで一旦全額を自己負担してもらい、後から様式第7号で労災保険に償還請求するしかないのではないか。」とアドバイスしたようです。

一方で通院が長期化していることから、本人の一時的な経済的負担が懸念されます。ついては現在通院中の治療費について、今から様式第5号を提出して労災保険に切り替えることは可能でしょうか?また最初にA診療所にかかっているため、転院届(様式第6号)の提出が必要になるのでしょうか?どの書類をどこに提出すればよいかもご教示ください。

ご相談への回答

できるビジネスパースン

労災指定病院なら「様式第5号」を提出するだけ

現在通院しているB病院が「労災指定病院」であれば「様式第5号(療養補償給付たる療養の給付請求書)」を病院の窓口に提出することで、B病院側で労災扱いに切り替わった時点で医療費を労災保険が負担(現物給付)するため、以後の自己負担は発生しません。

もしB病院が労災指定病院でない場合はいったん医療費の全額を支払い、「様式第7号(療養補償給付たる療養の費用請求書)」に医療費の領収書を添付して、所轄の労働基準監督署宛に、ご自身が支払った医療費の償還(現金給付)を直接請求することになります。

健康保険で初回受診したら「様式第6号」は不要

「様式第6号(療養補償給付たる療養の給付を受ける指定病院等(薬局)変更届)」は、すでに労災指定病院において労災保険を適用(様式5号を提出)して治療を受けていた被災労働者が、他の指定医療機関へ転院する場合に使用する届出です。

ご相談のケースでは、最初の受診先であるA診療所に様式第5号を提出せず、健康保険で受診していたため、労災保険制度における「指定医療機関変更の手続き」には該当しません。したがって、現在通院中のB病院へ直接「様式第5号」を提出すれば足ります。

健康保険から労災保険への切替手続き(遡及修正)

業務災害による負傷は健康保険の対象外ですので、これまでに健康保険を使って受診してしまった分については、健康保険から労災保険への切り替え手続き(遡及して修正)が必要となります。ただし切り替え手続きは受診したタイミングによって異なります。

  • 受診した月に切り替えを申し出た場合
    • A診療所およびB病院の会計窓口へ「健康保険証を使って受診したが、業務上の怪我だったので労災保険に切り替えたい。」旨を申し出て下さい。申し出た日が受診した日と同月内であれば、自己負担分(3割)の返金を受けられる場合があります。
  • 医療機関で切り替えができなかった場合
    • 医療機関で対応できない場合は、加入している健康保険の保険者(協会けんぽ等)に「業務災害であったため労災へ切り替える」旨を連絡します。保険者から健康保険が負担した7割相当額の返還の案内が届きますので、当該金額を保険者へ納付してください。
    • 次に、A診療所およびB病院が発行した領収書(3割分)と保険者が発行した返還金(7割分)の領収書を揃え、かかった医療費の全額(10割分)について「様式第7号」を作成し、A診療所とB病院から診療を行った医師の証明を、また事業主(貴院)から労災事故の証明をそれぞれ受けた上で、所轄の労働基準監督署に提出して、医療費の還付を受けてください。

本件のポイント

気づきを得た白衣の男性
  • 以後の医療費まで自己負担し続ける必要はなく、現在通院中のB病院が労災指定医療機関であれば「様式第5号」を提出することで自己負担ゼロとなる。
  • 転院届(様式第6号)は「様式第5号を適用して受診していた指定医療機関を変更する場合」に提出する書類であるため、B病院には様式第5号のみでよい。
  • 健康保険証を使用して受診した分について、いったん健康保険が負担した7割分を保険者に返還し、A診療所およびB医院ならびに貴院の証明を受けた「様式第7号」を作成し、所轄の労働基準監督署長へ提出して医療費全額の還付を受ける。

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  • この記事を書いた人

山口光博/社会保険労務士/人事コンサルタント

医療法人の総務課長→医事課長→法人本部人事課長を歴任後、上場準備企業の人事部長を経て開業。歯科・歯科口腔外科部門の事務マネジャー経験あり。

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