
スタッフ退職時の手続きでお困りではありませんか?
歯科クリニックでスタッフの退職が決まると、院長先生には多くの課題が一度に降りかかります。
引き継ぎ業務の調整、新しいスタッフの採用・教育など、診療と並行して進めなければならない作業は山積みです。
そのような状況の中でも、避けて通れないのが退職者に関する各種事務手続きです。
日々の診療や経営業務で忙しい院長先生としては、これらの手続きをスムーズかつ確実に進めたいとお考えではないでしょうか。
特に「雇用保険被保険者資格喪失届」は、手続きが遅れると退職したスタッフとのトラブルに発展する可能性もある重要な手続きの一つです。
今回は、この手続きについて分かりやすく解説します。
雇用保険被保険者資格喪失届とは?提出が重要な理由
雇用保険制度と資格喪失届の役割
雇用保険とは、労働者が失業した際や育児休業・介護休業を取得した際などの生活保障のほか、教育訓練・再就職支援などを行う社会保障制度です。
そして「雇用保険被保険者資格喪失届」は、スタッフが退職などにより雇用保険の被保険者でなくなったことをハローワークに届け出る手続きです。
この手続きは、退職したスタッフが失業給付(失業手当)を受給するために不可欠なものです。
手続きを怠った場合のリスク
もし資格喪失の手続きを忘れたり、届出が遅れたりすると、退職したスタッフの失業給付の受給が困難になったり、遅延が生じることになります。
また、再就職先での雇用保険加入手続きに支障をきたすなど、退職したスタッフとのトラブルにつながる恐れがあります。
なお、この手続きを怠ると、最大6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
手続きの具体的な流れと必要書類
提出期限
退職日の翌日から10日以内に提出する必要があります。
提出先
クリニックの所在地を管轄するハローワークへ、郵送もしくは窓口持参で提出します。
また、電子申請による提出も可能です。
必要書類
- 雇用保険被保険者資格喪失届
- 出勤簿やタイムカード
- 資格喪失の理由が確認できる書類(退職願、雇用契約書など)
離職票の交付を希望する場合は、上記に加えて下記の添付書類も必要です。
- 雇用保険被保険者離職証明書
- 賃金台帳または給与明細の写し(離職票記載期間すべて)
管轄のハローワークにより、また、雇用保険の確認書類の照合省略が認められている場合など、添付書類が上記と異なるケースがあります。
喪失届の手続きをはじめて行う際は、管轄のハローワークへ確認することをお勧めします。
様式と作成方法
資格喪失届の様式は、当該スタッフの資格取得手続き時に交付されたものを使用します。
紛失した場合は、ハローワークインターネットサービスからダウンロードも可能です。
記入項目には、離職年月日、資格喪失理由、週所定労働時間、被保険者情報などがあります。
作成にあたり不明な点がある場合は、厚生労働省の「雇用保険事務手続きの手引き」を参照することをお勧めします。
忘れずに押さえておきたい手続きのポイント
離職票(離職証明書)交付希望の確認
退職するスタッフには、あらかじめ離職票の交付希望の有無を確認することをお勧めします。
なお、59歳以上のスタッフについては、本人の希望に関わらず離職票を交付するよう定められています。
雇用契約変更時の注意点
正職員から短時間パートになるなど、雇用契約の内容が変わる場合は注意が必要です。
契約変更に伴い雇用保険の加入要件を満たさなくなったときは、スタッフが希望すれば離職証明書を発行する必要があります。
離職証明書の速やかな交付
手続き完了後、ハローワークから以下の書類が交付されます
- 雇用保険被保険者離職票
- 雇用保険被保険者資格喪失確認通知書(被保険者通知用)
これらの書類は退職スタッフの失業給付受給手続きに必要となるため、速やかに本人へ交付します。
マイナポータルによる離職票交付
2025年1月から、離職票をマイナポータルを通じてハローワークから離職者に直接交付するサービスが始まっています。
利用にはいくつかの条件がありますが、手続きの効率化・迅速化が期待できます。
退職手続きの負担を軽減~専門家活用のメリット~
スタッフの退職時には、雇用保険の資格喪失届以外にも、社会保険の資格喪失手続きや源泉徴収票の発行など、多岐にわたる手続きが必要となります。
日々の診療業務で多忙な中、このような煩雑な事務手続きを並行して進めるのは、院長先生にとって大きな負担でしょう。
安心して診療や経営に集中できる環境を整えるためにも、煩雑な事務作業は社会保険労務士のような専門家に任せてみませんか?
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