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08_障害時の制度

障害基礎年金と障害厚生年金

障害基礎年金と障害厚生年金アイキャッチ

障害基礎年金

労災保険とのちがい

国民年金の被保険者もしくは被保険者だった者が、障害状態になった時は、国民年金から障害基礎年金が給付される。労災保険の障害(補償)等給付が、労災による障害を対象としているのに対し、障害基礎年金の場合は、障害の事由が労災か私傷病かを問わない。

障害基礎年金の給付要件

障害基礎年金が給付されるためには、次の3つの要件を満たす必要がある。

  1. 初診日に被保険者であること(元被保険者で国内に居住する65歳未満の者も可)
  2. 被保険者期間のうち、保険料未納期間が1/3未満であること
  3. 障害等級1級〜2級であること

特例として令和8年3月末までに初診日のある65歳未満の者は、初診日のある月の前々月から直近1年間に保険料未納期間が無ければ、障害基礎年金が給付される。

原則給付も特例給付も、滞納者の駆け込み納付を防止するため、初診日の前日における保険料の納付状況で判定する。

障害基礎年金はいくらもらえるのか?

障害基礎年金の額は、障害等級に応じて次のとおりとなっている。

  • 障害等級1級〜満額の老齢基礎年金(780,900円✕改定率)✕1.25倍
  • 障害等級2級〜満額の老齢基礎年金(780,900円✕改定率)

被保険者に生計維持されている高校卒業前もしくは障害1〜2級の20歳未満の子がいる場合は、次の額が加算される。

  • 第1子および第2子〜1子あたり224,700円✕改定率
  • 第3子以降〜1子あたり74,900円✕改定率

二十歳前傷病の障害基礎年金

国民年金独自の制度に、二十歳前傷病の障害基礎年金がある。国民年金は20歳〜60歳まで加入義務があるが、20歳前の傷病によって障害状態になった場合、保険料納付要件を満たしていなくても、障害基礎年金が給付されることがある。

二十歳前傷病の障害基礎年金は保険原理とは違う福祉年金であり、それゆえに国民年金”保険”とは呼ばない。

障害厚生年金

障害厚生年金と障害基礎年金はセット

個人事業主は国民年金にしか加入できないが、法人の役員やサラリーマンの場合は、厚生年金保険の被保険者となる。厚生年金の被保険者は同時に国民年金第2号被保険者でもあるため、障害厚生年金が給付される時は、障害基礎年金もセットで給付される。

障害厚生年金の給付要件

障害厚生年金が給付されるためには、次の3つの要件を満たす必要がある。

  1. 初診日に被保険者であること
  2. 被保険者期間のうち、国民年金保険料の未納期間が1/3未満であること
  3. 障害等級1級〜3級であること

特例として令和8年3月末までに初診日のある65歳未満の者は、初診日のある月の前々月から直近1年間に国民年金保険料の未納期間が無ければ、障害厚生年金が給付される。

障害厚生年金は障害等級1〜3級まである。また保険料納付要件は、”国民年金”の保険料である点に注意。

障害厚生年金はいくらもらえるのか?

障害厚生年金の額は、障害等級に応じて次のとおりとなっている。

  • 障害等級1級〜障害認定時の老齢厚生年金✕1.25倍
  • 障害等級2級〜障害認定時の老齢厚生年金
  • 障害等級3級〜障害認定時の老齢厚生年金または障害基礎年金2級の3/4

被保険者に生計維持されている65歳未満の配偶者がいる場合は、224,700円✕改定率相当の額が加算される。ただし障害等級3級は加算の対象外となる。

老齢厚生年金の額=被保険者期間中の平均標準報酬月額✕被保険者期間✕給付乗率。なお障害厚生年金では、被保険者期間が短い場合に300月とみなす特例がある。

障害手当金

障害厚生年金の初診日要件と保険料納付要件を満たしているが、障害等級が3級に満たない場合、一時金として障害手当金が給付されることがある。障害手当金の額は、障害等級3級の障害厚生年金の額✕2である。なお初診日から5年以内に障害が確定していることが条件である。

障害基礎年金と障害厚生年金のまとめ

障害基礎年金と障害厚生年金の比較

障害年金の受給権はいつ失権するか?

障害基礎年金も障害厚生年金も、障害等級3級に該当しなくなって3年経過し、なおかつ65歳に到達すれば失権する。65歳からは老齢年金が給付されるが、65歳以前から障害が継続している場合は、障害年金か老齢年金のどちらかを選ぶことになる(1人1年金の原則)。

おすすめの書籍

福祉系社労士さん達による障害年金の実務書。障害年金の申請や不服申立ての方法だけでなく、親権者が亡くなった後、遺された障害者がどう生きてゆくべきか?といった福祉の視点も交え、成年後見制度に詳しい司法書士とともに共同執筆している。


  • この記事を書いた人

山口光博

コンビニやスーパーの販売職を経て三十路を機に人事業界に転身。20年以上にわたり人事部門で勤務先の人事制度改革に携わった後に起業。社会保険労務士試験合格。日商販売士1級、建設業経理士1級、FP技能士2級など多数取得。

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