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07_傷病時の制度

高額療養費

2024年12月19日

高額療養費アイキャッチ

高額療養費制度の概要

自己負担が高額になったら要チェック

医療機関受診時の患者負担は原則3割だが、高額な高度先進医療などの場合、患者負担も相当な金額となる。そこで健康保険などの公的医療保険には、被保険者の収入に応じて自己負担限度額を設定し、限度額を超えた分について高額療養費を支給する制度がある。

高額療養費の給付対象となるもの

保険診療の大部分が高額療養費の給付対象とされている。例外は入院時食事療養費(入院中の患者給食)と入院時生活療養費(病室の水道光熱費等)で、これらは、診療メニューにかかわらず、療養生活中には必ず発生する費用なので、高額療養費の対象外とされている。

自費診療と保険診療を同時に受ける場合(混合診療)は、保険診療部分についても自費扱いとなる。そのうち厚生労働大臣が認めたものに限り、保険診療部分に対して7割の保険給付を行うのが、保険外療養費だが、元々自費診療だった部分は、高額療養費は給付されない。

医療費を合算する時のルール

被保険者に被扶養者がいる場合、まず個人単位で医療費を合算し、自己負担限度額を超えた部分について高額療養費を給付する。次に自己負担限度額未満だった医療費を世帯単位で合算し、もし自己負担限度額を超えた場合は、さらに高額療養費が給付される。

なお個人単位もしくは世帯単位の医療費の集計には、次のようなルールがある。

  • 合算できるのは同一月の受診に限る
  • 入院費の合算は同一の医療機関に限る
  • 入院と外来は合算不可
  • 医科と歯科は合算不可
  • 協会けんぽと組合健保は合算不可
  • 世帯合算の場合、外来は21,000円以上に限る
  • 同一世帯でもそれぞれが被保険者の場合は合算不可
  • 70歳以上は合算ルールが若干異なる(本記事は解説を割愛)

入院と外来、医科と歯科を別々に算定するのは、診療報酬体系がそれぞれ異なるため。

自己負担限度額の計算方法

協会けんぽの自己負担限度

自己負担限度額は、個人単位も世帯単位も上表により計算する。標準報酬月額28万円未満および低所得者は、個人単位の外来のみ自己負担限度額が別途設定されている。また多数回該当とは、年3回以上高額療養費を給付された者が、4回目以降に適用される限度額となる。

勤務先が健康保険組合に加入している場合は、加入先の健康保険組合に要確認のこと。

標準報酬月額28万円未満の場合

たとえば標準報酬月額28万円未満の者が、総額50万円の医療サービスを受けた場合、3割の15万円が患者負担額となるが、自己負担限度額が57,600円なので、差額の92,400円が高額療養費として、健康保険から給付されることになる。

標準報酬月額28万円以上の場合

標準報酬月額28万円以上の場合は、計算式が複雑に感じるが、大雑把にいえば、標準報酬月額相当額の3割+医療費総額のうち標準報酬月額相当額を超える部分の1%については患者が負担し、それ以外は高額療養費として給付されると考えると解りやすい。

前項の高額療養費の計算式にある数値は、標準報酬月額ごとに規定された基準額の3割相当額のことである。

高額療養費のまとめ

高額療養費はどのように給付されるか?

高額療養費は、月単位で清算するが、個人単位では自己負担限度額を超えた部分について、医療機関の窓口で支払う必要がないため現物給付である。一方の世帯単位は、いったん世帯で合算した上で、健康保険に請求するため現金給付となっている。

慢性腎不全など、厚生労働大臣が定める特定疾病については、本記事の自己負担限度額とは別に、2〜1万円の範囲で別途自己負担限度額が定められている。

おすすめの書籍

本サイトでも傷病、障害、退職など、店長が従業員からよく質問されそうなトピックごとにカテゴライズして記事を投稿しているが、本書は特に傷病手当金と高額療養費を重点的にとりあげている。筆者は小売業特化型だが、こちらの著者は福祉系に強い社労士さん。


  • この記事を書いた人

山口光博

コンビニやスーパーの販売職を経て三十路を機に人事業界に転身。20年以上にわたり人事部門で勤務先の人事制度改革に携わった後に起業。社会保険労務士試験合格。日商販売士1級、建設業経理士1級、FP技能士2級など多数取得。

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