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003(制度概要)_社会保険

産前産後休業終了時・育児休業終了時の標準報酬月額の改定

産前産後休業(育児休業)を終了して復職した際に、育児のために時短勤務を選択することがあります。しかし時短で給与が下がる一方で、社会保険料は従前の額が引き続き徴収されるため、早期にこれらの乖離を解消しようという制度です。

産前産後休業終了時改定のポイント

原則的なルール

産前産後休業期間中の保険料は、事業主の申出により、開始した日の属する月から終了日の翌日が属する月の前月まで、事業主負担分と被保険者負担分の両方が免除されます。そして復職するといったん休業前の標準報酬月額にもとづき、社会保険料が徴収されます。

本制度では、産後休業終了日の翌日が属する月以後3ヶ月間に受けた報酬の総額を、その期間の月数(報酬支払基礎日数17日未満の月は除外)で除して得た額を報酬月額として、休業終了日の翌日から起算して2ヶ月を経過した日の属する月の翌月から改定します。

この制度を利用するためには、産前産後休業を終了した被保険者が、その休業に係る子を養育している場合に、事業主を経由して保険者等(日本年金機構や健康保険組合)へ申し出る必要があります。

    例外となる場合

    産前産後休業終了日の翌日に、引き続き育児休業等を開始している場合は、産前産後休業終了時改定は行われません。この場合は、後に説明する育児休業終了時改定の対象となります。

    育児休業終了時改定のポイント

    原則的なルール

    育児休業期間中の保険料は、事業主の申出により、開始した日の属する月から終了日の翌日が属する月の前月まで、事業主負担分と被保険者負担分の両方が免除されます。そして復職するといったん休業前の標準報酬月額にもとづき、社会保険料が徴収されます(産休時と同じ)。

    本制度では、育児休業終了日の翌日が属する月以後3ヶ月間に受けた報酬の総額を、その期間の月数(報酬支払基礎日数17日未満の月は除外)で除して得た額を報酬月額として、休業終了日の翌日から起算して2ヶ月を経過した日の属する月の翌月から改定します(産休時と同じ)。

    この制度を利用するためには、育児休業を終了した被保険者が、その休業に係る3歳に満たない子を養育している場合に、事業主を経由して保険者等(日本年金機構や健康保険組合)へ申し出る必要があります。

    例外となる場合

    新たな子が出生したことにより、育児休業等終了日の翌日に産前産後休業を開始している場合は、育児休業終了時改定は行われません。

    類似した制度のちがいを比較

    産休終了時改定と育休終了時改定のちがい

    • 共通点:新たな報酬月額の算定方法、改定が行なわれる時期、改定の申請(申出)方法などは共通しています。
    • 相違点:産前産後休業時改定は自ら出産する女性の被保険者が対象ですが、育児休業終了時改定は男女問わず適用されます。

    随時改定とのちがい

    通常の随時改定(月変)と比較して、産休・育休終了時改定には以下の緩和措置があります。なお、起算日から3ヶ月間の報酬額の平均をもとに、4か月目から標準時報酬月額を改定するルールは、随時改定も産育休終了時改定も同じです。

    1. 固定的賃金の変動不要:固定的賃金の変動がなくても、残業代などの非固定的賃金の低下のみで標準報酬月額の改定が可能です。
    2. 2等級以上の差も不要:従前の等級との間に2等級以上の差が生じていなくても、1等級の差(現在の等級と算出された等級が異なる場合)があれば改定されます。
    3. 算定月3ヶ月未満も可:3ヶ月間のうちに報酬支払基礎日数(17日以上※短時間労働者は11日以上)が不足する月があっても、残りの月で算定可能です。

    参考)出産・育児に関する社会保険制度

    • 出産手当金(健康保険):被保険者が出産のため休業し報酬が支払われない期間(産前42日、産後56日)に対し、標準報酬日額の3分の2相当が支給されます。
    • 育児休業給付金(雇用保険):原則1歳未満の子を養育するために休業した場合、一定の要件(休業開始前2年間にみなし被保険者期間12ヶ月以上)を満たせば支給されます。給付率は最初の180日間が67%、以降は50%です。
    • 出生後休業支援給付(雇用保険):令和7年度の法改正で新設された制度です。父母ともに14日以上の育児休業を取得した場合などに、育児休業給付に上乗せして給付率13%(計80%)が支給されます。
    • 時短勤務時の年金特例(厚生年金保険):3歳未満の子を養育するために時短勤務により標準報酬月額が低下しても、将来受け取る年金の計算においては低下前の高い標準報酬月額を維持できる制度です。保険料が下がっても年金の額は下がらない仕組みです。

    適正な社会保険事務は、標準報酬月額の正確な理解が肝です。特に女性労働者の多い職場では、産育休にかかる休業ルールや給付金に加えて、標準報酬月額の改定ルールに関する知識も欠かせません。具体的な手続きは別の記事で詳述しているのでそちらもご覧下さい。

    本記事の内容は投稿時点の法令にもとづき要点のみを平易な表現で執筆しています。実務においては所轄の官公署にご相談のうえ、貴院の実情に応じて適切にご対応願います。なお弊社でもオンライン人事相談を実施中です。詳しくは弊社ホームページよりご確認ください。


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    • この記事を書いた人

    山口光博/社会保険労務士/人事コンサルタント

    医療法人の総務課長→医事課長→法人本部人事課長を歴任後、上場準備企業の人事部長を経て開業。歯科・歯科口腔外科部門の事務マネジャー経験あり。

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