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002(制度概要)_労働保険

労働保険事務組合を活用して歯科診療とクリニック経営に専念する

これまで他の記事でも労働保険事務組合を活用するメリットについて解説してきましたが、本記事では中企団労働保険事務組合と当事務所をセットで活用すると、歯科クリニック経営においてどのようなメリットが得られるのか、具体的な事例をもとに解説します。

労働保険事務組合に業務委託する

労働保険事務組合とは?

労働保険事務組合とは、厚生労働大臣の認可を受け、事業主の委託を受けて労働保険(労災保険・雇用保険)の事務を処理する団体です。この制度は、中小企業の事業主の事務負担を軽減し、労働保険制度の円滑な運営を促進することを目的としています。

事務組合に委託できる主な事務には、概算保険料・確定保険料の申告および納付、保険関係成立届や任意加入申請書の提出、雇用保険の被保険者資格の取得・喪失届、そして労災保険の特別加入申請などがあります。

一方で、事務組合には委託できない事務も存在します。

具体的には、印紙保険料に関する事務や、労働者が直接受けるべき労災保険・雇用保険の「保険給付」に関する請求事務、および雇用安定事業や能力開発事業といった雇用保険二事業に係る事務などは、事務組合の業務範囲に含まれていません。

労働保険事務組合に委託するメリット

事務組合に事務を委託することで、事業主には以下のような大きなメリットがあります。

  1. 年度更新の事務代行:毎年6月から7月にかけて行う労働保険料の年度更新事務を事務組合が代行してくれます。7月10日は社会保険の算定基礎届の提出締切日でもありますので、作業ボリュームが半減する効果は大きいです。
  2. 労災保険の特別加入:本来は労災保険に加入できない中小事業主なども、事務組合に委託することで労災保険に特別加入でき、業務災害や通勤災害に遭ったときに、労災保険から各種の保険給付を受けられるようになります。
  3. 保険料の分割納付:一定額以上の保険料でなければ認められない分割納付(延納)ですが、事務組合に委託すれば金額にかかわらず保険料を3回に分けて分納することが可能となるため、納付資金の心配が軽減されます。
  4. 納期限の延長:事務組合に委託している事業所については、概算保険料の第2期(10/31)と第3期(1/31)の納期限が、それぞれ2週間延長されます。取引先への支払が集中する末日を避けられるため、資金繰りに有利です。

社労士を通じて加入すると一石二鳥!

前述の通り、労働保険事務組合は「保険給付(労災保険の請求など)」の手続きを代行することができません。しかし、社会保険労務士(社労士)に業務を委託し、その社労士を通じて事務組合に加入することで、この問題は解消されます。

社労士は、事務組合が受託できない保険給付の請求や雇用保険の助成金申請、就業規則の作成などをすべて代行できる専門家です。社労士を通じて事務組合を利用することで、労働保険に関するすべての事務をワンストップで完結させることが可能となります。

労働保険事務組合を利用する場合のポイント

北海道の労働保険事務組合の現況

たとえば当事務所が拠点とする北海道にも多種多様な労働保険事務組合が存在しますが、その多くは職域や地域に根ざした団体であり、農業協同組合(JA)や漁業協同組合、あるいは各地の商工会議所・商工会などによって組織されています。

他都府県の事情はわかりませんが、北海道では医療業界に精通した労働保険事務組合は極めて少ないのが現状です。医療機関の労務管理は専門職ごとの職業法や診療報酬制度の理解も欠かせませんので、一般的な事務組合では十分なアドバイスが得られない懸念があります。

おすすめは中企団労働保険事務組合

当事務所が推奨するのは、中小企業福祉事業団(略称:中企団)が運営する労働保険事務組合です。中企団は1970年(昭和45年)に厚生労働省(当時の労働省)の認可を受けて発足した、半世紀以上の歴史を持つ信頼ある団体です。

全国の社労士と連携し、中小企業の「人的価値」を高める支援を行っており、累計委託事業場数は27,000社以上にのぼります。ちなみに筆者も中小企業福祉事業団の会員(幹事社労士)ですので、当事務所を通じて中企団労働保険事務組合をご利用いただけます。

中企団労働保険事務組合の強みとは?

中企団労働保険事務組合の最大の強みは、オンラインにより全国の事業者に対応できる点です。以前は関東圏の事業者に限定されていましたが、2025年11月から地域を問わず、全国どこの事業者でも中企団労働保険事務組合に業務委託することが可能になりました。

特筆すべきは年度更新の完全オンライン化です。多くの労働保険事務組合が書面で行っている年度更新手続きを、専用のWebシステムで完結させられます。郵送の手間がなくなり、事業主への通知もメールで行われるため、ペーパーレスでスピーディな対応が可能です。

中企団労働保険事務組合を推奨する理由

当事務所はオンライン特化

当事務所はオンライン特化型の人事サービスを提供しており、中企団の推進する「年度更新のWeb化」やデジタル対応との相性が非常に良く、遠方のクライアントであっても対面サービスと変わらない、あるいはそれ以上の質の高いサポートを提供できます。

当事務所がオンラインに注力する理由は、地理的な制約に囚われず、また余計な固定費を増やすこと無く、スピーディで安全・安心、そしてリーズナブルに高品質な人事サービスをより多くのお客様に提供できるからです。それらの主なエビデンスは次の2つです。

1.ITとICTに精通した社労士です

当事務所は同業の中でも、IT・ICTの活用に長けていると自負しています。

  • 600人の人事管理をオンライン化:筆者が人事部長として一般企業に勤めていた時にコロナショックが起こりましたが、直ちに600人規模の人事管理をクラウドに移行し、グループウェアとタスクボードなどを活用して完全オンライン化した実績があります。
  • 雇用保険電子申請アドバイザー:筆者は2025年から北海道労働局の「雇用保険電子申請アドバイザー」を委嘱されており、昨年度は来所、往訪、電話などおよそ60件の電子申請の導入・運用アドバイザリーを実施し、行政事務の効率化推進に貢献しました。

2.情報セキュリティ対策も万全

オンライン特化型だからこそ、情報セキュリティにも積極的に取り組みます。

  • SRPⅡ認証取得:当事務所(リモートワークスコンサルティング社労士事務所)は、特定個人情報の管理体制が適切であることを証明する「SRPⅡ認証」を取得しています。これは全国社会保険労務士会連合会が認証する、社労士版プライバシーマークです。
  • 情報漏洩特約付き賠償保険:リモートワークスコンサルティング合同会社(人事コンサルティング)と当事務所(事務代行)は、情報漏洩特約付き業務賠償保険にそれぞれきちんと加入しており、万一の際の補償態勢も万全となっています。

DXの波に乗れるかどうかが分水嶺

いまだ書類オンリーは前時代的…

DXの時代になっても、今なお郵送やFAXによるやり取りをメインとしている事業所は少なくありません。しかし、書類ベースの事務には以下のリスクが常につきまといます。

  • 情報漏洩リスク:FAXの誤送信、郵送物の封入間違い、出先での書類置き忘れ、部外者による無許可閲覧などは、そもそもクラウド化すれば生じない問題です。
  • 業務の非効率さ:ファイリングの煩わしさと検索性の悪さ、書庫の設置や書類の整理整頓、そして不要になった書類の廃棄など、電子化すれば全て解消します。
  • 書類の紛失毀損:火災や水害、不測の事故による書類の滅失や毀損、経年劣化による書類の判読不能などといった不安材料は、ペーパーレス化で一掃されます。

DXの波はとまらない

現在、FAXは世界的に見ても廃止の方向にあり、日本でも多くの官庁がFAX使用の終了を表明するなど、その利用率は年々減少しています。また2024年10月に値上げした郵便料金について、2027年に再度の値上げが予定されているというニュースもあります。

人件費や貴金属価格の高騰に見舞われる歯科クリニック経営において経費削減は喫緊の課題ですが、人件費や診療材料費は医業収入とトレードオフの関係です。したがってリスキーで無価値な慣習を見直し、ムダなコストカットからはじめるのが賢明といえるでしょう。

当事務所の受託スキーム

当事務所では、クラウドを活用した安全かつ効率的な運用を徹底しています。往訪や郵送などの非効率な要素を極力排し、オンラインの利点を活かして高回転で受注案件を回転させることで、お客様にとって値ごろ感のある良心的なサービス価格を実現しています。

  1. 業務委託契約の締結:当事務所の利用するクラウド契約システムを介し、オンライン上で業務委託契約あるいは顧問契約を締結します。
  2. 帳票データの共有:当事務所の管理するクラウドストレージにお客様専用の共有フォルダを作成し、賃金台帳などのデータを安全に共有します。
  3. 電子申請の実施:共有されたデータを元に、当事務所からe-Gov電子申請システムを通じて届出事案を所掌する官公署へ書類を提出します。
  4. 公文書の送付:お客様の側で保存していただく公文書(各種届出の事業主控や本人控)を、クラウドストレージを介してお客様にお渡しします。

診療と経営に専念して活路を拓く

当事務所を窓口として中企団労働保険事務組合に加入することで、院長先生や役員の方々も労災保険に特別加入し、労働保険事務組合では受託できない労災保険や雇用保険の各種保険給付や雇用関係助成金の申請手続を、専門家たる当事務所が責任をもって代行いたします。

先日、歯科クリニックの廃業が過去最高を更新中というニュースを目にしましたが、労働保険のような煩雑な事務は専門家たる社労士に任せ、院長本来の業務である診療と経営に専念できる環境を整えることで、複雑化し不確実性の増す経営環境を乗り切ってゆきましょう。

労働法令や労働保険・社会保険の手続き代行を業として行うことができるのは、国家資格者たる社会保険労務士だけです。無資格者による業務請け負いは当然のこととして、これを知りつつ業務を委託した側も処罰の対象となるのでくれぐれもご注意ください。

本記事の内容は投稿時点の法令にもとづき要点のみを平易な表現で執筆しています。実務においては所轄の官公署にご相談のうえ、貴院の実情に応じて適切にご対応願います。なお弊社でもオンライン人事相談を実施中です。詳しくは弊社ホームページよりご確認ください。


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  • この記事を書いた人

山口光博/社会保険労務士/医療労務コンサルタント

医療法人の総務課長→医事課長→法人本部人事課長を歴任後、上場準備企業の人事部長を経て開業。歯科・歯科口腔外科部門の事務マネジャー経験あり。

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