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01 人事のしごと

【歯科クリニック向け】スタッフ採用時の手続きガイド 社会保険・労働保険の届出と実務対応のポイント

焦って書類を書く白衣の男性のイラスト

歯科クリニックにおける採用事務の重要性と特殊性

歯科クリニックでの採用実務は多岐にわたります。

特に社会保険の組み合わせは、歯科医師国保や健康保険、厚生年金保険など、クリニックにより異なり複雑です。

また、保健所や厚生局への届出といった医療機関特有の手続きも欠かせません。

本記事では、採用決定後に行うべき一連の手続きについて、実務上のポイントと期限を整理して解説します。

採用手続きの全体の流れ

採用決定後、初出勤からその後の事務処理まで、主な実務を時系列に整理すると以下の通りです。

  • 採用日まで
    • 労働条件通知書・雇用契約書の作成と交付
    • 採用者への手続き案内・必要書類の回収
    • 備品や各種システム等の準備
  • 採用日から5日もしくは14日以内
    • 公的医療保険および年金保険の被保険者資格取得手続き
  • 採用日から10日以内
    • 開設届出事項の変更手続き(保健所)
  • 採用後、速やかに
    • 保険医療機関の届出事項変更手続き(地方厚生局)
  • 採用月の翌月10日まで
    • 雇用保険の被保険者資格取得届の提出
  • 随時
    • 住民税の特別徴収切替
    • 初回の給与計算の注意点
    • 雇入れ時の健康診断
    • 退職金制度の加入

採用日まで:労働条件の明示と採用準備

労働条件の明示と労働契約の締結

事業主が労働者を雇用する際は、賃金や労働時間などの労働条件を書面で明示することが労働基準法により義務付けられています。

労働条件通知書

労働条件の明示は、「労働条件通知書」などの書類を採用者に交付することで行います。

特に契約期間、就業場所と従事する業務、始業・終業時刻と休憩・休日、賃金の決定方法と支払時期といった事項については、原則書面で明示するよう定められています。

雇用契約書

雇用契約書は、労使で合意した労働条件を書面化したものです。

口頭の契約も有効ですが、書面を締結することで双方の権利義務が明確になり、後日のトラブル防止につながります。

なお、明示義務のある労働条件を網羅していれば、「労働条件通知書兼雇用契約書」のように労働条件通知書と一体の書面で対応することも差し支えありません。

採用者への手続き案内と書類の収集

手続きに必要となる各種書類や出勤初日のスケジュールなどを、採用者へ案内します。

準備に時間を要する書類もあるため、採用決定後はできるだけ早めに案内しましょう。

提出書類の例

  • 雇用契約書
  • 基礎年金番号が確認できる書類(年金手帳など)
  • 雇用保険被保険者証(もしくは被保険者番号が確認できる書類)
  • 住民票記載事項証明書
  • 給与所得者の扶養控除等申告書
  • マイナンバーの確認書類
  • 健康保険・国保組合の加入手続きに必要な添付書類(家族を扶養に入れる場合)
  • 資格免許証の写し(歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士の場合)
  • 保険医登録票(歯科医師の場合)
  • その他の必要書類(通勤経路の届出書や給与振込口座の確認書類など)

備品や各種システム等の準備

採用日までに、ユニフォームや備品の手配、電子カルテ・レセコンや勤怠管理システム等のアカウント追加などの準備を行います。

採用日から14日以内:社会保険(国保組合)の手続き

健康保険・国保組合および厚生年金の被保険者資格取得届

加入する公的保険の種類は、クリニックの開設形態(個人・法人)や従業員数によって異なります。

自院がどの保険に加入しているかを確認したうえで、期限までに適切な機関へ届け出ましょう。

  • 歯科医師国保組合+厚生年金保険
    • 国保組合は原則14日以内(組合により異なる場合あり)に国保組合へ、厚生年金保険は5日以内に年金事務所へ届出。
    • 厚生年金保険は、同時に健康保険の適用除外承認申請も行います。
  • 健康保険+厚生年金
    • 採用日から5日以内に年金事務所へ届出。
  • 歯科医師国保組合+国民年金
    • 国保組合は原則14日以内に国保組合へ届出(組合により異なる場合あり)。国民年金の手続きは原則不要。
  • 市町村国保+国民年金
    • 原則手続き不要。

家族の手続きも忘れずに

採用者の家族が健康保険の被扶養者(国保組合は被保険者)となる場合は、本人の資格取得手続きとあわせて被扶養者の追加(国保組合は家族の資格取得)手続きも行います。

届出の際は添付書類(住民票、収入確認書類など)が必要になるので、採用者へは入職前に案内しておくとよいでしょう。

採用日から10日もしくは速やかに:医療機関特有の行政手続き

開設届出事項の変更手続き(保健所)

歯科医師や歯科衛生士・歯科技工士などの医療従事者を採用した場合、医療法の規定により10日以内に保健所への届出が必要です。

ただし、届出の要否は自治体ごとに差があるため、管轄の保健所へ事前に確認しておきましょう(自治体の他、開設者(個人・法人)の別、歯科医師とそれ以外の医療従事者の別により、届出が不要なケースもあります)。

保険医療機関の届出事項の変更手続き(地方厚生局)

保険診療を行う歯科医師を採用した場合は、速やかに管轄の地方厚生局へ届け出ます。

採用月の翌月10日まで:雇用保険の手続き

採用者が雇用保険の被保険者に該当する場合は、採用日の属する月の翌月10日までに、管轄のハローワークへ「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

なお、労災保険については、個別の資格取得手続きは不要です。

随時行う手続き

住民税の特別徴収切替

採用者が給与天引き(特別徴収)を希望する場合は、市区町村へ特別徴収への切替手続きを行います。

当年分の住民税が非課税または全額納付済の場合は、手続きは不要です。

初回給与計算の注意点

社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)は、「翌月徴収」が原則です。

例えば、4月採用者の保険料は5月支給の給与から控除することになりますので、採用月の給与で誤って控除しないよう注意が必要です。

雇入時の健康診断

労働安全衛生法に基づき、事業主は労働者を雇入れた際に健康診断を実施(または採用前3か月以内に実施した健診の結果を確認)しなければなりません。

退職金制度への加入

中小企業退職金共済(中退共)や確定拠出年金(iDeCo+)などの退職金制度を導入している場合は、各制度の手順に従って手続きを進めます。

採用手続きを確実に進めるために

歯科クリニックにおけるスタッフの採用では、労働条件の明示から社会保険・労働保険の届出、保健所・地方厚生局への手続きまで、期限のある対応が短期間に集中します。

書類の漏れや届出の遅延は、スタッフへの不利益だけでなく行政上のペナルティにつながることもあります。

自院でチェックリストを整備しておくことが第一歩ですが、手続きが増えてきたタイミングで社会保険労務士のような専門家に相談してみることも、実務の負担を減らす有効な選択肢となるでしょう。

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  • この記事を書いた人

福島智美

文学研究者(文学修士)から人事業界に転身。慢性期病院で給与計算や社会保険事務を担当後、リハビリ病院開設を経験。転職して山口の部下になった縁で共に起業。社会保険労務士試験合格。親族に歯科医師や薬剤師など多数。

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