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01_雇用管理

労働時間と休憩時間

労働時間と休憩時間アイキャッチ

労働時間

労働時間の定義

労働法令において労働時間とは、従業員が使用者の管理監督下にある時間をいい、いくつかの労働裁判の判例でも、更衣室で制服に着替える時間や始業前の朝礼の時間、終業後の後片付けなどの時間は業務に付随する時間として、当然に労働時間に含まれるとしている。

また全員参加を義務付けている就業後の勉強会や職場の懇親会、休日の社内レクレーションの時間など、個々の労働者が自身の余暇や趣味、家族サービスなど自由に利用することができない時間も全て労働時間とみなされ、事業主には賃金の支払や安全配慮などの義務が生じる。

法定労働時間と所定労働時間

労働基準法は1日8時間、週40時間を法定労働時間と定め、法定労働時間を超える就業を禁止している。法定労働時間を超える就業を法定時間外労働と呼び、使用者が労動者に法定時間外労働をさせるためには、労使協定を締結し、労働基準監督署に届け出なければならない。

法定労働時間内で定めた自社独自の就業時間を所定労働時間という。法定時間外労働には労働基準法に定める割増賃金の支払いが必要だが、所定労働時間を超えて労働者を残業(所定外労働)させたとしても、法定労働時間内に収まっていれば割増賃金の支払いは不要である。

なお労働基準法では1日を零時から24時まで、1週間を日曜日から土曜日までとしている。ただし週の開始を何曜日にするかは事業主が任意に就業規則に定めることができる。日付をまたぐ深夜シフトの場合は、始業した日を起点として1日の勤務とする。

同一の日に複数の事業場で勤務した時の労働時間は通算される(午前中は系列店の応援にゆき、午後から自店に戻って通常業務を行う場合)。さらに事業主が異なる場合(副業や複業)でも、労動者の申告にもとづき労働時間を通算することになっている。

ちなみに副業の場合、所定労働時間は労働契約を締結した時期の順により、法定時間外労働はその日の残業時刻の早い順に通算される。

副業時の所定労働時間と時間外労働の通算方法

休憩時間

休憩時間の原則

労働基準法は、1日の労働時間が6時間を超える労働者に対して45分以上の休憩を、また8時間を超える労働者に対して60分以上の休憩を与えることを使用者に義務付けている。休憩は勤務時間の途中に与えなければならず、出勤時や退勤時に休憩させることは認められない。

労働者に休憩時間を与える場合には、事業場の全従業員を一斉に休憩させなければならない。ただし商業や金融業、接客娯楽業、保健衛生業などには特例があり、労使協定を締結しなくとも個々の従業員を交代で休憩させることが認められている。

休憩時間は労動者の自由に利用させなければならない。例えば休憩時間に事務所の電話番をさせるようなケースは休憩時間を与えたことにならず、通常の労働時間とみなす。なお自由利用とは時間利用の自由であって、服務規律に反する行為の自由まで許容する趣旨ではない。

法定労働時間と休憩時間の例外

管理職

管理職は労働時間、休憩、休日に関する労働基準法の規定は適用されない。ただし管理職に該当するかどうかは管理職に見合った権限や報酬が与えられているかによって判断される。つまり一般職と同じ勤務シフトで働くコンビニの雇われ店長などは管理職に該当しない。

未成年者

18歳未満の未成年者は36協定を締結しても法定労働時間を超えて労働させることはできない。また未成年者には休憩時間の一斉付与の特例も認められず、未成年のアルバイトを交代制で休憩させるには、労使協定を締結する必要がある(労働基準監督署への届出は不要)。

妊産婦

妊娠中の女性および産後1年を経過しない女性(妊産婦)が請求した場合には、使用者は妊産婦に法定時間外労働や深夜勤務、変形労働時間制による就業をさせることはできない。ただし妊産婦が管理職の場合は、深夜勤務を除き妊産婦の就業制限は適用されない。

特例事業

常時使用する労働者が10人未満の商業、金融業、不動産業、保険業(特例事業)は、週の法定労働時間が44時間となっている。なお特例事業であっても、1年単位の変形労働時間制または1週間単位の変形労働時間制を導入する場合は、週の法定労働時間は40時間迄となる。

裁量労働制

①正確な勤務時間を算定し難い外勤の営業職、②使用者が仕事の段取りを具体的に指示することが難しい専門職、③調査や分析など仕事の進め方を労働者の裁量に任せた方がよい経営企画職については、労働時間に限り労働基準法の規定は適用されない。

変形労働時間制

1年または1ヶ月もしくは1週間などの特定の期間において業務の繁閑がはっきりしている業種は、週の平均労働時間が法定労働時間内に収まっている限りにおいて、閑散期に所定労働時間を短縮する代わりに、繁忙期に法定労働時間を超えて、労働者を就業させることができる。

労働時間と休憩時間まとめ

出退勤データの記録

労働基準法の労働時間管理の目的は、就業時間が労働基準法に違反していないかどうかチェックするためである。ゆえに出退勤データは使用者の現認でもよく、管理職については労働時間管理の対象外なので出退勤データを収集しなくても構わない。

一方の労働安全衛生法でも労働時間を記録することを事業主に義務付けているが、その目的は過重労働による健康被害の防止である。よって管理職の出退勤データも収集しなければならず、出退勤データは改ざん不可能な勤怠システムによる客観的記録でなければならない。

労働時間と休憩時間は勤怠管理の基本

労働基準法に規定する労働時間と休憩時間は、労務管理における基本中の基本となるルールである。ゆえに使用者は、法定労働時間と所定労働時間の区別、また休憩時間の付与の仕方などについて、正しい知識を習得しておく必要がある。

 

  • この記事を書いた人

山口光博

コンビニの店長やスーパーの販売課長を経て、31歳の時に管理畑に転職する。以後、20年以上にわたってあらゆる人事マネジメントの実務に携わる。上場準備企業の人事部長として人事制度改革を担当した後に独立、現在に至る。

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