大卒者と高卒者の採用ルール
大卒採用は就活ルールを遵守
大卒者の新卒採用(就活)スケジュールは、原則として企業と学生の任意だが、かつては企業が学生の青田買いを行うことで、学生の本分たる学業に支障が出ることを懸念して、経団連と大学との間で就職協定(法的拘束力なし)が結ばれていた。
就職協定は2013年に採用選考指針に変わり、就活ルールと呼ばれるようになるが、若年労働者の採用難から2018年に当時の経団連会長が就活ルールの放棄を表明。これを引き継ぐ形で、現在は政府が就活ルールの遵守を各経済団体に要請している。
なお2025年卒採用(大卒、短大卒、専門卒)の原則的な就職・採用活動日程は次のとおり。
- 広報活動開始 :卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
- 採用選考活動開始 :卒業・修了年度の6月1日以降
- 正式な内定日 :卒業・修了年度の10月1日以降
大学等卒業・終了予定者の就職・採用活動時期について(厚労省)
高卒採用は職業安定法による
高卒者は社会経験が浅いため、就職活動における客観的な企業情報の提供、不当な勧誘の防止、学業との両立などについて保護を必要とすることから、職業安定法にもとづき、ハローワークを通して就職・採用を行うことが事業主に義務付けられている。
大卒採用の求人公開は3月1日からだが、高卒採用の場合は7月1日解禁となっていたり、10月末まで就活生が応募できるのは1人1社まで(11月以降は1人2社まで)というように、生徒が学業に専念したり、企業に高卒者の青田買いをさせないための独特なルールがある。
令和7年3月新規高卒者の就職に関する申し合わせ(ハローワーク)
新卒採用スケジュール
大卒採用スケジュール
- 業界研究会(1月〜)
就活解禁前につき、多くの就職情報メディアは、業界研究会やインターンシップなどと称して、企業が就活生に接触するためのイベントを開催している。 - 求人公開(3月1日〜)
大学のキャリアセンターに求人票を送付する。現在はキャリタスUCなどの電子求人システムから、求人データを配信する方法が一般的。 - 会社説明会(3月1日〜)
会社説明会を開催する(採用条件を提示できるのはこの時から)。就職情報メディア主催の合同説明会に出展したり、自社の会議室で開催する。 - 採用選考(6月1日〜)
書類選考、面接選考が始まる。 - 採用内定(10月1日〜)
内定通知が解禁となるのは10月から。
高卒採用スケジュール
- 求人受付(6月1日〜)
ハローワークインターネットサービスの求人者マイページから、求人票を送信する。 - 求人公開(7月1日〜)
企業からハローワークに提出された求人票が、各高校で掲示される。 - 推薦開始(9月5日〜)
高校の進路指導室を通じて、就職を志望する生徒の推薦(応募書類の提出)がある。 - 選考開始(9月16日〜)
応募のあった生徒の書類選考および面接選考を開始する。 - 採用内定(9月16日〜)
選考開始と同時に内定通知が可能となる(応募から1週間以内に書面で通知する)。
採用時に気をつけるべきこと
大卒採用〜オワハラ&リクルーター制度
内定と引き換えに就活終了を強要すること(オワハラ)は、憲法の職業選択の自由を侵害する行為である。過去にリクルーター制度を悪用した営業マンが、就活中の女子大生に内定をチラつかせて強姦に及んだ卑劣な事件があったが、就活生との個別接触は人事部に限定すべき。
オワハラは行わないでください!(厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク)
高卒採用〜採用内定報告&求人取り下げNG
企業が高卒者の採用を内定したときは、指定のフォーマットにより、ハローワークに採用内定報告を行わねばならない。なお求人票の提出時にハローワークに通知した採用予定数を充足するまでは、企業側の一方的な都合で求人の取り下げはできない。
新卒採用のまとめ
初就職は人生の一大イベント
誰にとっても初めての就職は人生に一度きりの一大イベントである。そのような印象的なキャリアの節目で、企業が就活生に不義理を働いたり、不誠実な対応をすると、その人はずっとそれを覚えているため、いずれネガティブキャンペーンとなってその企業に返ってくる。
おすすめの書籍
企業のリクルーターではなく就活生向けの就活指南書だが、今やリクルートにもマーケティング思考が不可欠なので、採用担当者も就活生がどのような考えで就活に臨むのか、本書を通じて分析しておく必要があるだろう。
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