人材募集・採用時に注意すべきこと
年齢制限の禁止
労働施策総合推進法は、人材の募集・採用時には、求職者の年齢に関わらず均等な機会を与えること、また高年齢者雇用安定法は、人材の募集・採用時に65歳未満の年齢制限を設けた場合、求職者にその理由を明示すること、を事業主に義務付けている。
定年制限と再雇用の確保
高年齢者雇用安定法は、60歳未満の定年を設けることを禁止している。また65歳までの雇用確保のために、①65歳定年制、②65歳までの雇用継続、③定年廃止のいずれかの措置を講じることを、事業主に義務付けている。
70歳までの就業確保措置(①〜③+起業支援)は努力義務。
雇用継続と再就職の促進
高年齢者の雇用継続もしくは再就職促進のため、60歳以後の雇用継続もしくは再就職において、賃金が60歳前の75%未満に低下した場合は、最高で低下後賃金の15%が、雇用保険の高年齢雇用継続給付制度から支給される。
令和7年4月より給付率が15%→10%に引き下げられ、以後は段階的に廃止予定。
有期雇用契約期間の上限
労働基準法では、一般労働者の有期雇用契約期間の上限を3年としているが、60歳以上の高年齢労働者は再就職が難しいことから、例外的に有期雇用契約の上限を5年としている。
雇入れ後に注意すべきこと
使用者の安全配慮義務
労働契約法は、労働契約に明記されていなくても、使用者は労働者の就業について、当然に安全配慮義務を負うものとされている。そして労働安全衛生法は、使用者に対して、中高年労働者の特性に配慮した、適正な配置を行う旨の努力義務を課している。
第14次労働災害防止計画
労働災害某牛計画は、労働安全衛生法にもとづき厚生労働大臣が定める労災防止5か年計画であり、現在進行中の第14次労働災害防止計画において、特に製造業や小売業を中心とした、高年齢労働者の労災防止対策の推進が、明記されている。
高年齢者雇用状況報告
高年齢者雇用安定法は、事業主に対し、毎年6月1日時点の高年齢労働者の65歳までの雇用確保措置および70歳までの就業確保措置の実施状況について、7月15日までに所轄の公共職業安定所に報告することを、義務付けている。
令和6年高年齢者・障害者雇用状況報告の提出について(厚生労働省)
在職老齢年金制度
老齢厚生年金の受給者が就職して、厚生年金保険に加入した場合は、報酬額(月給額+賞与の月平均額)と厚生年金の受給額を合算し、法定の支給停止調整額を超えた部分の1/2相当額について、老齢厚生年金から減額調整する在職老齢年金制度が適用される。
社会保険制度に関すること
社会保険の資格喪失時期
労働者が75歳に達すると、健康保険制度は協会けんぽ(組合健保)から、後期高齢者医療制度に切り替わる。厚生年金保険は70歳到達時(国民年金は老齢基礎年金の受給資格を満たした場合かつ65歳到達時)に資格を喪失する。
高年齢者の雇用保険制度
定年によって退職した者は、失業給付の基本手当の受給期間が、1年間から2年間に延長される。また労働者が在職中に65歳に到達した時は、一般の被保険者から高年齢被保険者に切り替わり、離職して失業給付を受ける場合は、高年齢求職者給付金が支給される。
高年齢者の雇用のまとめ
高年齢者は何歳から?
高齢者の雇用に関する様々な法令や制度を解説してきたが、これらにおいて高年齢者の定義は微妙に異なる。たとえば高年齢者雇用安定法では、高年齢者を55歳以上としているが、雇用保険法は60歳or65歳以上、厚生年金保険法は70歳以上なので、注意が必要である。
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