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02_経理のしごと

会計仕訳(給与計算③)社会保険料の納付

社会保険料は月末日時点の被保険者資格に基づき保険料が発生するため、被用者保険(健康保険・厚生年金保険)においては、原則として当月分の社会保険料(本人負担分)を翌月の給与から控除することになっています。また社会保険料は労使折半で負担するルールであり、労使それぞれが負担すべき社会保険料の勘定科目が異なる点にもご注意願います。

社会保険料の徴収と納付

社会保険の適用事業所は、健康保険法および厚生年金保険法に基づき、従業員(被保険者)に給与を支払う都度、社会保険料(健康保険料、介護保険料、子ども子育て支援金、厚生年金保険料、子ども子育て拠出金)を、翌月末日までに日本年金機構を通じて各保険者(協会けんぽ等)に納付する義務を負っています。

なお社会保険料は、子ども子育て拠出金を除き労使折半で負担します。会計記帳においては、事業主負担分は法定福利費で、被保険者負担分は職員預り金でそれぞれ計上しますが、社会保険料は月末の被保険者資格の有無に基づき発生するため、月末〆切当月25日払い等の月給制の場合、翌月の給与にて当月の被保険者負担分を控除します。

給与等の条件設定

前回の仕訳(法定福利費)

本記事では前回の記事「会計仕訳(給与計算①)費用の計上と給与の支払」に基づき、前回計上した社会保険料にかかる未払費用と職員預り金の処理方法について解説します。まず社会保険料の事業主負担分は、期間損益の原則に基づき、給与発生月の月次損益に費用(法定福利費)計上しますが、納付は翌月なので相手科目は未払費用(負債)となっています。

記帳:◯月25日(◯月の給与支給日)

(借)勘定科目金額(貸)勘定科目金額(摘要)
法定福利費_健康保険料16,448円未払費用_社会保険料49,840円◯月度社会保険料
法定福利費_介護保険料2,592円◯月度社会保険料
法定福利費_子ども子育て支援金368円◯月度社会保険料
法定福利費_厚生年金保険料29,280円◯月度社会保険料
法定福利費_子ども子育て拠出金1,152円◯月度社会保険料
借方計49,840円貸方計49,840円*****

職員預り金の仕訳(◯月の翌月)

社会保険料の被保険者負担分の会計仕訳です。冒頭で申し上げたとおり、月末〆切当月25日払い等の月給制の場合、当月の給与から社会保険料(被保険者負担分)を控除することは物理的に不可能ですので、法令により翌月の給与から控除するルールとなっています。控除した現金預金を一時預かり、月末に納付しますので、職員預り金(負債)で計上します。

記帳:▢月25日(◯月の翌月の給与支給日

(借)勘定科目金額(貸)勘定科目金額摘要
現金預金48,688円職員預り金_健康保険料16,448円◯月度社会保険料
職員預り金_介護保険料2,592円◯月度社会保険料
職員預り金_子ども子育て支援金368円◯月度社会保険料
職員預り金_厚生年金保険料29,280円◯月度社会保険料
借方計48,688円貸方計48,688*****

会計ルールのおさらい

社会保険料は事業主負担分(未払費用)と被保険者負担分(職員預り金)を合算して事業主が日本年金機構に納付する義務を負っています。納付(現金預金=資産→減)と同時に負債(未払費用と職員預り金)科目を借方に振り替えてこれらの残高を消去します。

法定福利費は費用科目(PL科目)ですが、未払費用は負債科目(BS科目)です。またPL科目は発生主義(売上や費用が発生した時に計上)を、BS科目は実現主義(入出金があった時に計上)を採用している点にも注意が必要です。

会計仕訳パターン(社会保険料の納付)

未払費用の消去(事業主負担分の納付)

こちらは社会保険料の事業主負担分の納付にかかる仕訳です。社会保険料の納付ルールでは、事業主負担分と被保険者負担分を合算して事業主が納付する義務を負っていますが、会計処理上では、事業主負担分を被保険者負担分をそれぞれ納付し、未払費用と職員預り金の残高もそれぞれ反対仕訳を行って消去します。

記帳:▢月31日(月末)

(借)勘定科目金額(貸)勘定科目金額(摘要)
未払費用_社会保険料49,840円現金預金49,840円◯月度社会保険料
借方計49,840円貸方計49,840円*****

職員預り金の消去(被保険者負担分の納付)

続いて職員預り金を納付する時の仕訳です。職員預り金は翌月の給与支払時に計上(法定控除)し、月末の社会保険料の納付時に職員預り金残高を消去します。未払費用(事業主負担分)が月度をまたぐのに対し、職員預り金は計上から一週間以内に消滅しますが、企業会計原則(明瞭性の原則)に基づき、職員預り金の記帳を省略することは認められません。

記帳:▢月31日(月末)

(借)勘定科目金額(貸)勘定科目金額摘要
職員預り金_健康保険料16,448円現金預金48,688円◯月度社会保険料
職員預り金_介護保険料2,592円◯月度社会保険料
職員預り金_子ども子育て支援金368円◯月度社会保険料
職員預り金_厚生年金保険料29,280円◯月度社会保険料
借方計48,688円貸方計48,688*****

補足:負債残高のチェック

社会保険料を納付する際は、日本年金機構から送付された納入告知書と会計ソフトの元帳(未払費用+職員預り金)残高との照合チェックを行って下さい。これは社会保険料の納付に限ったことではありませんが、何等かの支払いを行う場合は、支払いの根拠(納入告知書や請求書)と自院の認識(会計記帳)が合致していることを確認するのが鉄則です。

また◯月度の社会保険料にかかる未払費用と職員預り金の残高が、◯月度の翌月末日の時点で消滅していることも確認しましょう。社会保険料の発生と納付は月をまたいで連続するため、会計伝票の摘要欄の記載(◯月度社会保険料)を省略すると、未払費用と職員預り金の残高チェックが煩雑になるため、入力支援機能等を活用して几帳面に実施しましょう。

多くの会計ソフトには、給与計算や社会保険料の納付など、毎月必ず発生する定型的な仕訳パターンを登録できる機能が実装されています。必要な仕訳パターンを呼び出し、金額や月度を入力するだけで、複雑な会計仕訳をモレなくダブりなく処理できます。

社会保険料の徴収・納付において、日本年金機構から送付される納入告知書と、自院の未払費用および職員預り金の残高との不一致が時々生じます。主な要因は社会保険の手続き遅延や給与計算ソフトの標準報酬月額の改定モレなどです。つまり社会保険の適正な手続きは正確な会計処理の大前提ともいえます。

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  • この記事を書いた人

山口光博/社会保険労務士/人事コンサルタント

医療法人の総務課長→医事課長→法人本部人事課長を歴任後、上場準備企業の人事部長を経て開業。歯科・歯科口腔外科部門の事務マネジャー経験あり。

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