傷病(補償)年金とは?
休業(補償)給付の長期化Ver.
傷病(補償)給付は、休業(補償)給付が開始されてから1年6ヶ月経過(長期化)し、なおかつ傷病等級第1〜3級に該当(重症化)した場合に、休業(補償)給付に代えて給付される。休業補償給付が日払いなのに対し、傷病(補償)給付は年金方式で給付される。
傷病(補償)年金はいくらもらえるか?
傷病(補償)年金の給付額は、年金給付基礎日額に、傷病等級に応じた日数を乗じて得た額となる。老齢年金同様に、偶数月の15日に、前月〜前々月の2ヶ月分が給付される。
傷病(補償)年金の給付基礎日額は、毎年8月1日時点の年齢に応じた年齢階層別最低・最高限度額が適用される。また毎月勤労統計をもとに、年度ごとのスライド改定も行われる。
給付要件に該当しなくなったとき
療養中の労働者が傷病(補償)年金を受給している間、毎年1月に労働基準監督署に、傷病の状態について報告を行い、受給資格を更新するが、傷病等級第1〜3級に該当しなくなると、傷病(補償)年金は打ち切られ、再び休業(補償)給付に戻ることになる。
傷病(補償)年金に関連した制度
傷病特別支給金・特別年金
労災保険制度は、保険本体部分と被災労働者の社会復帰等を支援するための付帯事業の2本立てとなっており、後者の代表的な制度が、特別支給金である。
傷病(補償)給付の場合は、傷病等級に応じた傷病特別支給金と傷病特別年金が、通常の保険給付に上乗せされる(特別支給金の給付は1回のみ)。
障害(補償)年金
労災保険には、障害(補償)年金もあり、給付基礎日額の計算と、第1〜3級の給付日数は傷病(補償)年金と同じである。傷病と障害の違いは、前者が療養のため休業せざるを得ない状態、後者が症状固定により、療養を継続しても改善が期待できない状態をいう。
障害厚生年金・障害基礎年金
障害(補償)年金は、障害確定が給付要件だが、障害厚生年金と障害基礎年金は、初診日から1年6ヶ月経過し、障害状態にあると認定されれば給付される。つまり傷病(補償)給付は、給付開始から1年6ヶ月経過した後について、社会保険に準じて扱う措置である。
傷病(補償)年金のまとめ
申請不要な唯一の労災給付
労災保険は、労働基準監督署に請求しないと受給できないが、傷病(補償)年金は、労働基準監督署の職権で、休業(補償)給付から切り替える仕組みである。特別支給金は請求が必要だが、休業(補償)給付時に届出しておくことで、傷病(補償)給付とセットで受給できる。
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多くの労災事故は不意に発生するものであり、現場に対する指示の遅れにより、労働者が誤って健康保険証で医療機関を受診すると、労災隠しを疑われるリスクがある。店舗責任者であれば、有事の際に誤った指示をしないよう、日頃から常識レベルの知識は習得しておきたい。
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