人事相談FAQでは、実際に運営者(RWC合同会社・RWC社労士事務所)が取り扱った人事相談のうち、頻出の事案あるいは重要と思われる事案を厳選し、医療業界に置き換えてご紹介しています。
依頼者からのご相談

当院は、歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・受付スタッフなどおよそ30名が勤務する外来専門の歯科クリニックです。当院では診療体制に合わせてシフト制を採用しており、曜日の固定公休ではなく毎月の業務シフトによって公休日を設定しています。
この度、勤務する男性歯科技工士(日給月給制)から、配偶者の出産に伴い「6月15日から6月28日までの14日間(2週間)」で産後パパ育休(出生時育児休業)を取得したいと申し出がありました。6月の月間公休数は10日の設定となっており、育休開始前の6月1日〜14日までの期間には元々2日の公休日が組まれています。
この場合、月間所定公休数(10日)に届かない残りの8日分の公休は、育休開始前の1日〜14日の間にすべて振り替えて消化させる必要がありますでしょうか?それとも、育休期間である15日〜28日の間の任意の日を公休として取り扱って差し支えないのでしょうか?
ご相談への回答

結論から申し上げますと、月間所定公休日の残りを育休開始前に振り替えて消化させるか、あるいは休業期間中(6月15日~28日)に公休日も含めて「産後パパ育休」として取り扱うかについては、貴院と当該歯科技工士さんとの間で話し合いのうえ決定していただいて差し支えありません。
ただし、貴院の給与形態が日給月給制である点を踏まえると、育休開始前の公休日数は当初予定の2日間のままにとどめ、残りの8日間を出生時育児休業の期間に含めた上で休業手続きを行い、出生時育児休業給付金を申請する方が、当該歯科技工士さんご本人にとって経済的メリットが大きくなります。
育児休業と所定公休日との調整に関する法的整理
育児・介護休業法に定められている産後パパ育休(出生時育児休業)は、子どもの出生後8週間以内に、最大4週間(28日)まで就労義務を免除する制度です。また年次有給休暇とは異なり、育児・介護休業には「労働義務のある日」に限って休業できるというルールは設けられていません。
したがって休業開始前の労働期間において、労働基準法上の法定休日(週1日または4週4日の休日)が確保されているのであれば、月の公休日数と育児休業とを両立させるような調整を行う必要はありません。
有給休暇との制度上の違いと実務上のアドバイス
もし日給月給制のクリニックにおいて、月の公休日数を厳格に守るために、あえて育休前の期間に月に10日間の公休日を詰め込んだ場合、育休前の勤務日数が大幅に減少し、基本給や固定的手当の日割調整(減額)が大きくなる経済的デメリットが生じます。
一方で、6月15日からの14日間を公休込みで「産後パパ育休」として申請すれば、休業日数に応じた「出生時育児休業給付金」(休業開始前賃金の67%相当)を受給できます。本ケースのように出生時育児休業の開始日と終了日が同一月内にある場合、出生時育児休業の日数が14日以上の場合に社会保険料の免除を受けられるというメリットもあります。
本件のポイント

- 育児休業は労働日か公休日かに関わらず実施できるため、労働基準法の法定休日(週1日または4週4日以上の休日)が確保されていれば、月の所定公休日数を育休前に全て取得させる法的義務はない。
- 6月15日〜28日の14日間について、公休日込みで育休期間とすることで、元々の公休日を含めて「出生時育児休業給付金」が支給されるため、育児休業を行う従業員にとって経済的メリットが大きい。
- 同一の月に出生時育児休業の開始日と終了日がある場合、当該月の社会保険料の免除を受けるには、14日以上の休業が必要である。
本記事の内容は投稿時点の法令にもとづき要点のみを平易な表現で執筆しています。実務においては所轄の官公署にご相談のうえ、貴院の実情に応じて適切にご対応願います。なお弊社でもオンライン人事相談を実施中です。詳しくは弊社ホームページよりご確認ください。


