人事相談FAQでは、実際に運営者(RWC合同会社・RWC社労士事務所)が取り扱った人事相談のうち、頻出の事案あるいは重要と思われる事案を厳選し、医療業界に置き換えてご紹介しています。
依頼者からのご相談

当院に勤務するパートの歯科衛生士についての相談です。彼女は9:00〜13:00(所定労働時間4時間)の半日勤務の契約なのですが、勤務日はいつも自主的にスタッフルームで15分ほどの休憩をとっています。
ところで、この歯科衛生士が年次有給休暇を取得した際、支給する賃金は契約通りの「4時間」とするべきでしょうか。それとも勤務実態に合わせて休憩15分を差し引いた「3時間45分」でよいのでしょうか?なお、当院の就業規則では年次有給休暇を取得した時は「通常の勤務に支払われる賃金」を支給すると定めています。
ご相談への回答

結論として、該当の歯科衛生士が有給休暇を取得した際に支給すべき賃金は、契約上の所定労働時間である「4時間分」となります。自主的な休憩の取得を理由に3時間45分へ減額することはできません。
年次有給休暇を取得した場合の賃金計算
労働基準法第39条第9項および貴院の就業規則に基づき、年次有給休暇を取得した時に「通常の労働時間に支払われる賃金」を支給する場合、その額は就業規則や個別の労働契約に定めた所定労働時間をベースに計算します。
したがって当該歯科衛生士が年次有給休暇を取得した場合に支払うべき賃金は、労働契約上の所定労働時間である「9:00〜13:00(4時間分)」です。また労働基準法第34条において、休憩を与える義務が生じるのは労働時間が6時間を超える場合であるため、4時間の勤務に対して休憩時間を考慮する余地はありません。
自主的休憩とノーワーク・ノーペイの原則
ところで日常の勤務において、当該歯科衛生士が自主的にとっている15分間の休憩については貴院と本人との間で整理が必要です。本来は契約外の自主的な休憩時間については「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づき無給(賃金カット)扱いとすべきです。
一方で15分間の休憩が、完全に労働から解放されていない状態(来所した患者の受付や電話応対などに備えている状態)であれば、それは手待時間(労働時間)とみなされます。したがって小休止の15分間をどのように取り扱うべきか、貴院と本人との間で話し合うことを推奨します。
本件のポイント

- 年次有給休暇を取得した場合に支払う「通常の賃金」は、就業規則や個別の労働契約において定めた所定労働時間に基づき計算する。
- 労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合に、労働時間の途中に45分以上の休憩を与えることを使用者に義務付けている。
- 規程や契約に定めのない自主的な休憩時間については、ノーワーク・ノーペイの原則に基づき賃金カットできるが、手待時間の場合は休憩とはみなされない。
本記事の内容は投稿時点の法令にもとづき要点のみを平易な表現で執筆しています。実務においては所轄の官公署にご相談のうえ、貴院の実情に応じて適切にご対応願います。なお弊社でもオンライン人事相談を実施中です。詳しくは弊社ホームページよりご確認ください。

