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06_育児と介護

出産手当金の支給申請手続き

出産手当金の支給申請手続きのアイキャッチ画像

この記事では、出産のために仕事を休み、給与が支払われない場合に健康保険から支給される「出産手当金」について解説します。

本記事は全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入している被保険者向けの内容となっています。
他の健康保険制度に加入している場合は、各保険者に手続きの詳細をお問い合わせください。

出産手当金の支給申請が必要なとき

健康保険の被保険者である従業員が、出産のために仕事を休み、その間の給与の支払いを受けなかったときは、健康保険から出産手当金が支給されます。

出産手当金を受け取るためには、所定の「健康保険出産手当金支給申請書」を提出する必要があります。

出産手当金の支給要件

  • 被保険者が出産した(する)こと
    • 被扶養者は支給対象外
  • 妊娠4か月(85日)以上の出産であること
    • 早産、死産、中絶を含む
  • 出産のために仕事を休み、給与の支払いがないこと
出産手当金の概要はこちらから

出産手当金支給申請書の提出期限

出産のため仕事に就けなかった日の翌日から2年間のうちに申請します。

上記の期限を過ぎると、時効により給付を受ける権利が消滅するので注意しましょう。

出産手当金支給申請書の提出先

加入している協会けんぽの都道府県支部に提出します。

出産手当金支給申請書は、申請期間が経過した後でないと提出できません。
(例:1/1~4/8分の申請ができるのは4/9以降)

出産手当金支給申請書の様式と作成

出産手当金支給申請書の様式

出産手当金支給申請書の様式は、協会けんぽのホームページでダウンロードできます。

様式を印刷して手書きで記入するか、ダウンロードしたPDFに直接入力して印刷することも可能です。

協会けんぽ以外の医療保険制度に加入している場合、様式や添付書類については、それぞれの保険者に確認してください。

出産手当金支給申請書の作成

出産手当金支給申請書は3ページ構成で、それぞれ次のように記入・作成します。

  • 1・2ページ:被保険者(従業員本人)が記入
    • 被保険者の情報
    • 振込先指定口座
    • 申請期間や出産予定日など
  • 2ページ(下半分):医師・助産師が記入
    • 出産予定もしくは出産したことの証明
  • 3ページ:事業主(会社)が記入
    • 被保険者の勤務状況
    • 賃金の支払状況

出産手当金を複数回に分けて申請する際、最初の申請が出産後で出産日が確認できた場合は、2回目以降の申請時は医師や助産師の証明は不要です。

記入に不安がある場合は、協会けんぽのホームページに掲載されている記入例を参照しましょう。

作成のポイント①:誰が提出する?

出産手当金支給申請書は、被保険者(本人)が作成・提出することになっていますが、事業主の証明が必要なこともあり、実務的には会社が中心となって手続きを進めることが一般的です。

手続きフローの一例

  • 会社が社員に申請書の作成を依頼する(1・2ページ)。
  • 社員が申請書の従業員記入欄(1・2ページ)を記入し、医師・助産師に証明欄(2ページ)の記入を依頼する。
  • 社員が1・2ページの記入が完了した申請書を会社に返送する。
  • 会社が事業主記入欄(3ページ)に必要事項を記入し、協会けんぽに申請書を提出する。

作成のポイント②:申請期間は?

出産手当金は、産前産後休暇期間中の分を一度に申請することも、複数回に分けて申請することも可能です。

一括で申請すると手続きが一度で済み本人や会社の事務負担が軽減されますが、生活保障の観点からは、産前分と産後分など複数回に分割して申請することも選択肢として考えられます。

申請回数とその期間については、手当金受給を希望する従業員の意向を十分に確認して、手続きを進めるとよいでしょう。

作成のポイント③:退職後の申請は?

従業員が退職した場合でも一定の条件を満たせば、出産手当金を受給することができます。

その際は、本人が申請書を作成し、協会けんぽに提出する必要があります。

この場合、申請書の3ページ目の事業主証明欄は空欄のまま提出することになります。

退職後に出産手当金を受ける条件
・退職日までに継続して1年以上の被保険者期間がある
・資格喪失時に出産手当金を受給している、もしくは受給条件を満たしている(退職日に出勤すると条件を満たさなくなるので注意)

添付書類

添付書類は原則不要ですが、下記に該当する場合は所定の書類を添付する必要があります。

  • 支給開始前の12か月間に、転職や定年再雇用で被保険者番号が変更になったり、任意継続被保険者の期間がある場合
  • 記号・番号が不明のため交付申請書にマイナンバーを記入した場合

健康保険組合では、賃金台帳や出勤簿の提出を求められる場合もあります(協会けんぽの場合は提出不要)。

出産手当金支給申請書を提出したあと

出産手当金の支払いが決定すると、支給額や振込日が記載された「出産手当金支給決定通知書」が届きます。
その後、指定した口座に手当金が振り込まれます。

なお、申請書の記入内容や添付書類に不備がある場合、協会けんぽから申請書の修正や添付書類の追加提出を求められることがあります。

出産手当金の手続きをスムーズに進めよう

出産手当金は、出産を理由に仕事を休まなければならない従業員にとって、経済的な支えとなる重要な制度です。

しかし、その手続きは、従業員にとっては複雑に感じられるかもしれません。

従業員が安心して出産を迎え、育児に専念できるよう、会社が申請手続きをサポートすることが望ましいでしょう。

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  • この記事を書いた人

福島智美

研究の道から人事の世界に飛び込み、大手医療法人グループで長らく給与計算や社会保険手続きなどを担当する。社会保険労務士やFP2級、第1種衛生管理者の資格を有する事務スペシャリスト。事業会社の人事課長を経てRWCに参画。

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